#03 ・レトロルックへのこだわりについて ・クリープハイプの「でたらめな世界のメロドラマ」の制作秘話 ・実際のブラウン管TVでどう見えるかを検証したカットもあった ・教えるポジションの重要性 ・編集という仕事について ・アニメの編集を実写の編集に近づけようとしている ・まふまふ「それを愛と呼ぶだけ」にて用いた編集の試み ・今後の神田さんの進む道について ゲスト:神田智隆 アニメ撮影 1981年生まれの42歳。 アニメ撮影からキャリアスタートし、ゲーム・遊技機・広告代理店デザイン部と映像を基軸に業界を渡り歩いた経験を持つ。 ジャンル問わずの映像演出に精通し、プロデュース・制作の両軸への理解と橋渡しが得意。 最近はセルアニメ時代のルック等、レトロなルック開発に注力中。 後進の育成にも重きを置き、若手監督サポートや学生の就職相談も行っている。 神田智隆 さんのまとめはこちら
神田智隆
神田智隆 アニメ撮影 1981年生まれの42歳。 アニメ撮影からキャリアスタートし、ゲーム・遊技機・広告代理店デザイン部と映像を基軸に業界を渡り歩いた経験を持つ。 ジャンル問わずの映像演出に精通し、プロデュース・制作の両軸への理解と橋渡しが得意。 最近はセルアニメ時代のルック等、レトロなルック開発に注力中。 後進の育成にも重きを置き、若手監督サポートや学生の就職相談も行っている。 TALK Journey Spotify #01 #02 #03 SKOOTA YouTube #01 #02 #03 その他エピソードの再生リスト TALK LOG #01 ・エンタメ業界を目指そうと思ったきっかけは、地元のクリエイター集団との出会い・好きなゲームを作っているクリエイター集団ハウスに出入りする日々・自分たちで作り、自分たちで売りに行くというスタイル・楽しそうにしているクリエイター集団を見ていて、クリエイティブって楽しいものなんだなと感じた・初めてアニメ撮影に携わった現場が楽しすぎた・片渕須直監督との垣根の無いコミュニケーションができたBLACK LAGOONのアニメ撮影・撮影スタジオ所属時期には主にMADHOUSE作品を担当する・撮影に自信がついたタイミングでのゲーム会社への転職活動だったが….・ゲーム会社では液晶開発という部署での仕事になったが、アニメ撮影の知識や経験が使えた #02 ・ギャルゲーの映像をたくさん作っている会社に転職して、PV、OP、EDを作る・アニメ映像をどんどん作っていこうという会社の中で映像制作を試行錯誤する・一人プロダクションという立ち位置が出来上がる・様々な経験を経て、フリーランス時代に突入・フリーランス10年目の転機・改めて現時点の自分の立ち位置や評価を知る・様々な立場の人と話すようになり、よりアニメの強みを理解する・ヤマノススメ、有頂天家族、物語シリーズなどOP&EDの制作秘話 #03 ・レトロルックへのこだわりについて・クリープハイプの「でたらめな世界のメロドラマ」の制作秘話・実際のブラウン管TVでどう見えるかを検証したカットもあった・教えるポジションの重要性・編集という仕事について・アニメの編集を実写の編集に近づけようとしている・まふまふ「それを愛と呼ぶだけ」にて用いた編集の試み・今後の神田さんの進む道について
「怖すぎるWebtoon」Road to Webtoon #2
実際あの地域に住まれる方々からクレームがあったんですね。「怖すぎる」って。(筆者訳) ‐ホラン、2014年7月9日 2011年、韓国のWebtoon界を揺らがした事件があった。 当時公開された作品が、「怖すぎる」という理由で話題になったのだ。果たしてどういう内容で、ここまで話題を呼んだのか。 当時の私は今とは違ってホラー系に全く耐性がなく、故に当時話題になっていた作品も数年たってから読み始めたりしていた。 その例の一つが前の回でちらっと名前だけ紹介した、『戦おう幽霊よ』(2007)という作品。ホラージャンルであるにもかかわらず、特有のユーモアと面白いストーリー性で人気を博していた。おそらく途中からギャグ漫画に路線を変えてなかったら、私は今まで目を通していなかったかもしれない。 それ故にもちろん、当時話題になった「怖すぎる」Webtoon作品なんて私に見れるはずがない。でもWebtoonとしては珍しくマスコミで取り上げられたり、海外で話題になったというニュースを聞いた私は、大決断を下すことになる。放課後、そうやって私は教室に5人くらい友達を集めてWebtoonを読んでいた。 あんな滑稽なことをしてまで読もうとした作品とはいったい何だったのか。それは、『2011年度ホラー短編集』にあがって来た二編のエピソード「オクス駅の幽霊옥수역 귀신」と「ボンチョドンの幽霊봉천동 귀신」である。 ちなみに本作品は前回の『強いやつ』とは違って、4年前にLINE漫画にでも『2020怪談短編集』という名前として載せられた。そのせいで各々のタイトルも「プラットフォーム幽霊」「裏参道の幽霊」という名前に変わっている。 この短編集の9・10話が話題のエピソードである。ホラー苦手な人は閲覧注意🚫 今になって読んでみると、そこまで怖いと感じない人も多いのではないだろうか。 私も13年ぶりにこの作品を読み直して、「なぜ当時の自分はそこまで怖がっていただろう」と笑ったりもした。でもどう考えてもその理由は明らかである。それは、ただ13年前のWebtoonに「こんなとんでもない作品はなかった」からだ。 本作品を書いたWebtoon作家のホランは、当時としては考えられない破格的な演出をよく作品の中で披露していた。その試みの一環として今回の作品で注目されたのは、「3DソフトとFLASHを用いたアニメーション効果」である。ただ止まっているだけでも怖い、いや、止まっているのがごく当然であったホラーのWebtoonが、目の前で急に動き出すなんて当時の読者には考えられなっかたんだろう。 上述したエピソードの中、「オクス駅の幽霊」(日本名:プラットフォーム幽霊)では3Dソフトを使って手が画面から飛び出るような演出をしている。しかし、もっと注目してほしいのは「ボンチョンドンの幽霊」(日本名:裏参道の幽霊)のほう。リマスターされた今はただ「オクス駅の幽霊」と同じく、3Dのイメージが飛び出るような形をしているが… このエピソードが登場した13年前は、FLASH機能を使って強制的にユーザーのスクロールをおろし、数枚の絵をまるで動いているように見せる、いわばパラパラ漫画の演出を試みた最初のWebtoon作品だった。 技術的な話でいうと、今のWebtoonは出版漫画をウェブに持ち込んだだけのレベルにとどまっていると思うんです。デジタル媒体こそ表現できる、ユーザーの操作に反応してみせる「インタラクティブ・トゥン」の製作技法の基準を立てたい。(筆者訳) -ホラン、2014年05月23日 前回の話の続きになるが、今のWebtoonを定義する一つの基準は「スマホ・タブレットに適した読み方」である。 しかしその以前に「紙ではなくデジタル媒体で漫画を読んでいる」という大前提を、我々は見逃しがちである。 紙は自分で読むテンポの調節ができる。 紙の絵は自分でパラパラしない限り、動かない。 紙の漫画は音を出さない。 このように当然として考えていた(紙の)漫画の常識が、デジタルに変わることで覆される。ホランは当時の人々が無視、もしくは見逃してしまったことにようやく疑問を示してきた唯一のWebtoon作家だった。 Webtoon読者はもちろん、普段興味のなかった人々でさえ衝撃に落としたこの二作をきっかけに、Webtoon界は少なからずの変化を迎える。 一番著しい変化として、WebtoonにBGMが入るようになった。今はWebtoonサイトからBGMを入れる機能が追加され、そんなに珍しくない手法になっているが、2010年代の前半までホランの手助けなしにBGMを入れることは不可能に近かったため、ホランの名前は多くの作品のクレジットに寄せられていた。 Webtoonの読み方において迷走していた2010年代後半に至っても、ホランの名前は相変わらず膾炙されていた。スマホの画面に合わせたコマを一枚一枚と横にスワイプするスマート・トゥーンから、スクロールの動きに合わせて絵が動くというムービング・トゥーン、スクエアのコマを横に流すカットトゥーンまで、ホランはWebtoonに変化の火をもたらしたプロメテウスとして語られ続けた。 Webtoonが今の形にたどりつくまで、その読み方は様々な試みを経ていた。 漫画とアニメーションの境界線にあるジャンルを、外国では「モーション・コミックス」と呼ぶ。韓国では2011年度に公開されたホラン作家のWebtoon『オクス駅の幽霊』がその始まりだといわれている。(筆者訳) ホランは単に「絵が動き出す作品」を作り出したわけではない。ホランが生み出したのは読者すらも忘れかけていた、「紙じゃなくてデジタルで漫画を読んでいるという自覚」だった。 今になっても絵が動くようなWebtoon作品はかなり珍しいとみなされている。しかし、スマホが普及され、タブレットで読みやすくなった今のWebtoonの形にたどり着くためには、必ずこの自覚が必要になってくる。 今回は投稿する内容上、作品の中身には深く触れていない。しかしこの文章を読んでいる読者の中には、Webtoonの歴史を自ら体験し、その変化に少しでも触れたいという人もいるだろう。そういうファッショナブルなあなたにおすすめしたいこの作品は… パク ジュヒョン 1998年生まれ、韓国出身。今年から日本のアニメスタジオで働いている。15年以上Webtoonを読み続け、先読みの課金に10万円以上を費やしたことに気付く。現在は課金で費やした分をビュー数で稼ぎたい気持ちでWebtoonの記事を書いている。