こんにちは、モブです。また記事を書くことになりました。普段はSKOOTAGAMESのネゴラブチームで日々、コツコツとUnityと格闘している者ですが、前回のTIGSレポートがあまりにも好評だったため、今回は大阪で開催された「ゲームパビリオンjp 2025」に足を運んできました。 定時退社を心がけている私がわざわざ出張してまでイベントに行くのは珍しいことですが…正直なところ、無料経費で新幹線に乗れるところが大きかったかもしれませんね。しかし、そんな軽い気持ちで訪れたイベントは、予想以上に多くの発見と刺激に満ちていました。 今回のレポートシリーズでは「まだまだ広がるインディーゲームの世界」をテーマに、三回に分けてお届けします。初めての大阪でのインディーゲームイベント参加は、これまで経験した東京のゲームイベントとはまったく違う空気感を味わうことができました。出展されているゲームも、既視感のある懐かしいテイストのものから、全く新しい感覚を呼び起こす作品まで、実に多様性に富んでいたのです。 第一回目の今回は、「独特な雰囲気を醸し出すミニマルなインディーゲーム」と題して、小さな規模ながらも深い没入感を提供してくれた二つのタイトルをご紹介します。 とかげメトロGB:懐かしさと新しさが融合する手のひら冒険譚 最初に紹介するのは『とかげメトロGB』です。メトロイドヴァニア形式の2D探索アクションゲームで、特筆すべきは携帯ハードで動作するという点。現場ではこの小さなデバイスを手に取り、懐かしさと新鮮さが入り混じる不思議な感覚とともにプレイしました。 緑色のトカゲを操って「コオロギの巣」を探索するというシンプルな設定ながら、わずか10分ほどのデモプレイの間にも、予想以上の奥行きを感じさせる内容でした。プレイ方法や操作は直感的で、少し触れるだけですぐに手に馴染む設計になっています。 探索型アドベンチャーゲームの醍醐味は、明確な道筋が示されない自由さにあります。このゲームも例外ではなく、洞窟内を自分の意志で歩き回りながら、思いがけない発見や制作者の仕掛けに出会う喜びに満ちていました。小さな画面の中に広がる世界は、その制約を逆手に取った工夫と創意に溢れていたのです。 ゲーム内の細部には遊び心が散りばめられていました。全体としては巣を探検し、敵を倒して新能力を解放していくオーソドックスな流れですが、随所に小さな驚き要素が用意されています。 特に印象的だったのは、ゲーム内に登場する通信機のような装置。セーブポイントとしての機能だけでなく、主人公のスキンを変更できる機能も備えていたので、初期状態の緑色から、赤色の「アタックとかげ」や金属質感の「きんぞくとかげ」に姿を変えることができました。 たかが爪ほどのドット絵が変わっただけなのに、それがもたらす満足感はなかなか。この手の小さいゲームのカスタマイズ要素といえば、せいぜいプレイヤーの名前を入力する程度しか思い浮かばなかった自分にとって、この小さな工夫は割と衝撃でした。 マップには隠しエリアも点在していて、制限時間内に見つけられたのはたった2か所。「もっとあるはず」という探索欲を刺激してくれる設計も秀逸でした。次にプレイする機会があれば、もっと丹念に探してみたいと思います。 制作者のaze3さんは、本業ではゲーム業界のデザイナーとして活躍されているそうで、このゲームは趣味で制作しているとのこと。プロの技術と個人の情熱が融合した結果なのか、小さなスケールながらも隅々まで行き届いた繊細さを感じる作品でした。 指先に残る携帯ハードのボタンの感触と、液晶画面のうっすらとしたディスプレイまで。それらの懐かしさと、現代のゲームデザインセンスが不思議と調和した体験は、しばらく忘れられそうにありません。 帰路:静寂と思考が織りなす旅 次に紹介するの『帰路』です。独特の雰囲気が特徴的な2Dドットイラストのパズルゲームで、四角形のタイルで構成されたマップ上に、特定の形をしたパネルを置くことで道をつないでいくという、シンプルでありながら決して容易ではない構造のパズルゲームでした。 一つ特筆すべきは、単に道を見つけることがこのゲームの目的ではないということです。より正確には「正しい道」を見つけなければならないのです。主人公の少女は常に目的地に最も近いルートでタイル上を歩いていくため、間違った目的地を避けたり、仲間のカラスを連れて行ったりするなど、一見単純な構造でも、それ以上の目的意識を持ってプレイしなければならないゲームでした。 今回のイベントでプレイしたゲームの中で、最も頭を使わされたタイトルだったように思います。単に空いている場所にパネルを置けば道ができるわけではなく、パネルを置いた場所が空のタイルなら新たにタイルが生成され、元々タイルがあった場所なら消えるという仕組みのため、単純にタイルを埋めていく発想ではカバーできない難しさがありました。 ようやく慣れてきたかと思った矢先、ゴールに直進せずに仲間のカラスを連れていかなければならないという要素が加わり、さらに難しい状況に直面することになりました。なんとかタイルを置いたりリセットしたりしながら最後までプレイできましたが、後ろに誰か待っているかもしれないという焦りで手に汗を握りながらプレイしていました。 いつも思うことですが、このようなイベントでプレイするパズルゲームは、後ろに誰か立っているかもしれないプレッシャーと向き合いながらしなければならないんですよね。ただ、それゆえに成功した時に感じる達成感がとんでもなく大きいので嫌ながらもプレイしてしまうと。一度プレイしようと決心するのは難しいかもしれませんが、実際にプレイしてみると楽しい記憶として残るわけです。 ゲーム性ももちろんですが、先ほども言った通り雰囲気が素晴らしいゲームでした。特徴的なドットイラストも目を引く魅力があっただけでなく、控えめで静かな雰囲気のBGMと微かに聞こえてくる効果音が、パズルに頭を悩ませている最中でも思わず感嘆せずにはいられなかった要素でしたね。 カラスのギミックが加わった後の話になりますが、カラスを連れて目的地に向かう際、頭の上にカラスが止まるという細かいけれど可愛らしいポイントもありました。ストーリーも、もしかしたらのネタバレを避けるため詳しくは話せませんが、「この先に何が待っているのだろう」という想像を掻き立てるには十分だったように感じます。 久しぶりにパズルとストーリー、そして世界観という三拍子が揃い、期待を抱かせるタイトルと出会えたという点で、今回のイベントは十分な意義があったと感じられる、そんな貴重な出会いでした。 このようなパズルゲームの制作者に会うと必ず聞きたくなる質問があります。「こういったパズルはいつ、どうやったら思いつくのですか」という定番のクエスチョンです。ただ今回は珍しく、他の要素でお話しすることに時間を費やしてしまい、この質問を投げかける余裕がありませんでした。もし他のイベントで出会う機会があれば、ぜひ一度プレイしてみることをお勧めします。難しすぎる場合は、制作者さんが親切にヒントをくださるので、遠慮なく聞いてみてください。 小さくても深い体験を提供する力 今回紹介した『とかげメトロGB』と『帰路』、この二つのゲームに共通するのは、一見するとシンプルでミニマルなデザインでありながら、プレイヤーを独自の世界観へと引き込む力強さです。 携帯ハードという限られたハードウェアで表現された小さなトカゲの冒険も、静謐な雰囲気の中で展開される論理的なパズルの旅も、どちらも「小ささ」を武器に、むしろその制約の中で創意工夫を凝らした作品と言えるでしょう。 しかも驚くべきことに、これらはいずれも少人数、あるいは個人で開発されたものでした。大規模なチームや莫大な予算がなくとも、明確なビジョンと情熱があれば、プレイヤーの心に残る体験を作り出せることを、改めて教えてくれたタイトルだったと思います。 インディーゲームの魅力とは、まさにこういった「小さくても深い」体験にあるのかもしれません。大阪で出会ったこれらのゲームは、インディーシーンの多様性と可能性を再認識させてくれる、貴重な出会いでした。 次回は「独特なコンセプトで武装した、一方で闇を感じるインディーゲーム」と題して、斬新かつ大胆な発想で驚かされる作品たちをレポートします。お楽しみに。
“Ultimate Operability That Anyone Can Play” – Tokyo Indie Game Summit 2025 Report
Hello, I’m Mob. I’m a Unity beginner working on the Negolove team at SKOOTAGAMES. Usually, I’m just a person who casually makes games and goes home, but this time I’ve been assigned to report on the Tokyo Indie Game Summit (TIGS2025). Writing articles isn’t originally my responsibility, but before I
「Mandragora Seeker – in the CREEP ZONE」発売開始!!
「Mandragora Seeker – in the CREEP ZONE」発売開始!! 臆病な墓掘り人、マンドラゴラで幽霊を撃退!?叫び声と恐怖が響き渡る墓場で、マンドラゴラを求める冒険が始まる! SKOOTA GAMESでは最新作「Mandragora Seeker – in the CREEP ZONE」を2024年12月25日から、韓国のゲームプラットフォームSTOVEにて販売開始しました!このゲームは、代々墓掘り人として暮らしてきた一族の末裔である主人公が、謎の少女に翻弄されながら、 「マンドセレクション金賞」を目指してマンドラゴラを採集、交配し、奮闘する物語です! クリスマスとお正月は、墓場に叫び声響くマンドラゴラたちと過ごそう! ゲームの説明 墓掘り人の家系に生まれた主人公。だけど彼は、とんでもなく臆病!夜の墓場や森に入るたび、おばけに遭遇しては気絶してしまう可哀想な子。そんな彼の夢に毎晩出てくるのが、厳しいお母さん。「立派な墓掘り人になりなさい!」と説教ばっかり…。そんなある日、謎の少女が現れ一言。 「マンドセレクション金賞を取れば、お母さんも喜ぶんじゃない?」え、マジで?それでお母さんの呪縛から解放されるならやるしかない!こうして彼は、変な植物「マンドラゴラ」を採集して、掛け合わせて、「金賞」を目指すことに。 不思議なマンドラゴラたちを採集しよう!墓場や森などさまざまな土地でマンドラゴラを採集。気候や時間帯、月の満ち欠けが影響するから、観察力が重要! 住民たちのヒントを活用!町の住民や商人から採集のヒントを聞き出して、最高品質のマンドラゴラを見つけよう。 おばけや火の玉を撃退!採集中に現れる幽霊や不気味な火の玉は、マンドラゴラの叫び声で退治可能!ただし、昼間はその叫び声に寄ってくるイーターに要注意! 目指せ、マンドコレクション4冠!怪しい代行人から品評会の情報を聞き出そう! 開発秘話 実はこのゲーム、SKOOTA GAMESのスタッフが他のプロジェクトの合間に、「クリエイターの情熱だけで2ヶ月」という短期間で制作されたもの!「とりあえずやりたいことを詰め込んでたら、こんなゲームができちゃいました!」というノリで生まれたこの作品。完成した今、スタッフ全員が「これ、結構面白いかも!?」と胸を張っています。 発売日&プラットフォーム 発売日:2024年12月25日(1日限定にて50%offサービス中!)プラットフォーム:STOVE対応言語:日本語、韓国語、英語URL https://store.onstove.com/ja/games/4679