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全体の目次


#01

・アニメーションにおけるノンナラティブな表現とは?
・映画祭で自身の作品がノンナラティブ部門で上映されていた
・「物語」がない作品ではなくて「物語」を作品の柱に置いていない作品という解釈
・ジャンルとか気にせず好きなものを作り続けている
・転ぶと痛いし柔らかいものは心地いい
・ジュラシックパーク、ターミネーターからのリュミエール兄弟
・映画は物語だけじゃなくて瞬間の体験もある
・映画の中に散りばめられてる忘れられない体験が好き
・ある夏の日、ビニールプールでコンビナートを模して監督した怪獣映画ごっこ遊び
・ジェダイの帰還を劇場で観た記憶
・映画が大好きな両親の元で
・高校三年生でファントムメナスを観るために劇場に並ぶ
・劇場空間というアナログへの憧憬
・T-1000を見た衝撃
・異質なものや奇妙なものが見たい
・ETERNITYのインタビューより
・短い尺の中で実験的に奇妙なものを作る
・20分寝させないものをノンナラティブで作るためのライド型
・映画が終わったときに映画館にいたことを気付かされるということ
・ETを見た後の自転車爆走の夜

#02

・平面の大画面で主観映像を観るとVRになる
・「スパイダーバース」における映像の快楽性
・ノンバーバルの価値とは
・言葉で伝え合うときの曖昧性
・ドイツで「WONDER」を見てくれた女性からの言葉
・ノンバーバルは見た人に自発的に何かを考えさせる効力があるのかも
・アンケートが苦手 ・「フラグルロック」の話
・「水江西遊記(仮)」について
・いま、西遊記をやるということ
・人間がどう生きていくのか、世界をどう認識するのか

#03

・「License of Love」について
・たくさんのキャラクターを出すこと
・生きること、死ぬことの拡大がテーマ
・子供のときに読んだ学研の科学より
・Twoth(トゥース)さんの曲について
・イントゥーアニメーション8の曲も作ってくれている
・イントゥーアニメーション8のプラグラムについて
・アニメーションがより面白い時代になってきている
・アニメが横断し始めて、混沌としているが刺激的である

#03が始まります


たくさんのキャラクターを出すこと

迫田

まずは『ETERNITY』がVR的であるという話を皮切りに、VRチャレンジの話をしていき、いまは長編チャレンジということで『水江西遊記』のついて、お話を深めてきておりました。ですので、また引き続き『水江西遊記』に関してお聞きできればと思うんですが、まあやっぱり表現の話で言うと、水江さんが今用いられていて強みである表現を活かせるストーリーの原作が『西遊記』であった、というところがあるっていうお話だったんですが、ストーリーの面でもそうですし、やっぱりなんか根底に流れているその仏教的なモチーフに関して、例えば諸行無常みたいな価値観を表現する上でのメタモルフォーゼ的表現っていうのは、なんかものすごく「物事は常に変わりゆく」という考えを表してると感じますね。

自分を認識するためには、自分以外の全てを認識したもの以外の自分を考えるみたいなこととかが、とてもこの映像表現の中に、直感的且つ視覚的に取り入れられているなと思うので、なんかものすごくそういう意味でも相性が良いし、なんかこれインドの方々とかも、「あ、これこれ!」って言う感じで思うんじゃないかな、なんて思ったりしますけどね。今はインド仏教のトップの方が日本人だったりしますし、僕も最近興味がある領域なので、ついついそっちの解釈でとらえちゃうんですけども。

キャラクターがたくさん増えてるっていうところで、もしお聞きできればと思ったのは、キャラクターについてですが、プロット上では文字で構成されてると思うんですけど、キャラクターデザインも水江さんが行われるということですか?

水江未来

そうですね。今、パイロット版の映像を作ってて、その中に出てくるキャラクターは僕がデザインをしていて、最終的にはどういうふうに変わっていくかっていうのはまだわからないんですけれども。

迫田

なるほど。僕、水江さんが描かれるキャラクターが可愛くて好きなので、見たいなと思いました。例えばCHAIさんのこのミュージックビデオの「愛そうぜ!」のキャラクターとか、そのCHAIのメンバーを模したキャラクターもそうですし、なんか恐竜っぽいかわいいキャラクターとかすごい良いです。

あと僕、kiki vivi lilyさんがすごい好きなんですけど、Tomgggさんとkiki vivi lilyさんのミュージックビデオのキャラクターも可愛いなぁなんて思いながら見てるんですけど、こういうキャラクターが出てきて、物語が展開されるのかな、と思い、ワクワクしています。

水江未来

kiki vivi lilyさんとTomgggさんのやつは、瞳の中がメチャクチャ動くアニメーションなんですよ。瞳の中に一個の抽象アニメーションのキャンパスがあるみたいな。そういう感じであれは要するにリリックビデオとして作った映像なので、ずっとループなんですよね。短いアニメーションをずっとループしていくので、どっか一箇所にものすごく密度を上げた部分を作りたいなと思って瞳の中をちょっとそうやってやろうみたいな感じですね。そのミュージックビデオで出てきたようなキャラクターに近いものが、西遊記のキャラクターで、今のところ描いています。たくさんのキャラクターを出したいっていうのは、やっぱりまあ『フラグルロック』とつながりますし、『スターウォーズ』もね、あのワンシーンで一瞬しか映らないようなキャラクターたちとか、やっぱりそういったものからの影響ってのはすごくあるので。あとはもう一つ『ネバーエンディング・ストーリー』がすごい好きなんですよね。

迫田

ああ、『ネバーエンディング・ストーリー』ですか。そうですよね。確かにそうだ、そうだ。なんかそれもあるなって思いましたね、今、お聞きして。

水江未来

『ネバーエンディング・ストーリー』は『スターウォーズ』とは全然違ういろんな奴らが出てくるので、すごい好きなんですよね。だから、やっぱりそういったものの影響があって。ちびまる子ちゃんとかもあのモブキャラがいないじゃないですか、みんなすごく個性とバックグラウンドがあるキャラクターたちがクラスメイトでいて、ドラえもんは、のび太とジャイアンとスネ夫としずかちゃん、出木杉以外はあとみんなモブになっちゃうんですけど。なんかそういうこう、あのたくさんのキャラクターたちがみんなが主人公になりうるような形で登場してくるっていうのが、すごく好きだなぁと、そういう感じで今ちょうど考えてみた感じですね。

迫田 水江さんがおっしゃるように、さりげないところですけどキャラクターの数やキャラクターの服装だったり、あとは背景などの世界観の積み上げで、全体的な雰囲気って生まれてくるからこそ、圧力というか、そこを増やしたいって思うのはすごくありますよね。そこがないとね、なんか世界観が濃くなっていかないというか。

水江未来

そのなんだろうな。人生がね、やっぱりこう進んでいく中で、色んな人と関わるようになって、その関わり方の濃度もそれぞれ違くて、映画祭とかで会った人とかも、その一週間の間はなんかこう、顔合わせたり話したりをするわけだけれども、映画祭終わって「じゃあね」って言って別れるけど、生涯会わない可能性もあるっていうのを考えると、なんかこうすごくたくさんの人と出会っては別れて、その後自分の人生には一度も交差することがないこととか、そういったものは毎日起こってるんだなあっていうのを考えると、なんて言ったらいいか、常にもう生と死っていうのは実はそこにあるというか。そういうことは思うんですよね。

今回の作品は結構そういう生と死っていうところを考えて作っていて、特に死ぬっていうことって、ふとひとりでそのことを想像するとものすごく怖くなるんだけれども、同時に自分が生きてる中でなんか嬉しかったこととか、家族との会話であったりとか、未来のことを考えるときに、いろんなことを想像膨らましていくっていう生が拡張しているような瞬間があって。

だから、その死に対しての怖さも増幅するし、生の拡張みたいなことも起こるみたいな、なんか複雑化してるんですよね、自分の中で。昔はもっとシンプルに生きてたなとは思うんですけど、すごくその生きること、死ぬことっていうのがものすごく複雑に両方がこう拡大してっているような、そういう感覚が自分の中にあって、そういったものをちょっとテーマにはしています。

迫田

今のお話を聞いて、ものすごく僕の中で『水江西遊記』の解像度が高まりました。所々にやっぱり自然になのか恣意的なのかわかんないですけど、世の中に水江さんがアウトプットしているものの中に、やっぱこのなんだろうな、千手観音的なものとか、薬師如来とか、阿弥陀仏とかそんなものだったり、シヴァ神みたいなものだったり、なんかいろいろそういうモチーフが描かれていて、そういったものへの引力があるのかなって、なんか勝手に感じちゃうところであるんですけど。「生と死」みたいなものを考えるとやっぱそっちの方面にいくというか。

水江未来

そうですね、僕の場合はどちらかっていうと、子供の時に学研の科学を読んでたんですよね。学研の科学雑誌を毎月読んだりしていて。で、まあそこで顕微鏡の中の世界とか、宇宙の世界とか、なんか酸性雨を検索できるキットがあったりとか、深海の生き物はこういうのがいるとか、そういうのを見てすごくわくわくしながら生きてきていて。

なので、生と死はどちらかというとサイエンス的なところの興味っていう所からで、死ぬの怖いなだけど、逆になんで今生きているんだろうとか、自分の人生っていうのが今この期間継続してんだろうとか。まあ、要するに無ってなんだろうと思うと、むしろ「有」がある、「有」の方が稀な状態だとかね。宇宙が爆発して、そのなんか爆発の中の塵の中から太陽系があって、地球があってみたいな考えると、その宇宙が膨張している外側に行くと、何にもない場所が広がってんのかなとかなると、逆に何かがあるっていう状態の方が、すごく不思議な状態なんだとか。なんかね、そういう感じで想像膨らませるみたいなとこがありますね。

迫田

多分、僕だとまだ水江さんの世界に切り込む武器が少なくて、役不足なところがすごくあるなと思いつつ、いろいろ聞いてきてきてよかったなと思ってます。えっと、一旦ここでその曲を挟ませてもらって、後半は、この長編もそうなんですが、直近に迫ったINTO ANIMATION(イントゥーアニメーション)の映画祭についてお話をできればと思っておりまして。

えっと、その前に一曲お聞きいただく形なんですが、先ほど、出会いもあって、別れもあって、無と有みたいな話もあり、生と死っていうのもありましたが、水江さんも今まで数々のいろんなメンバーと苦楽を共にしているところがあると思うんですけど、そういう方々が関係するような曲ですかね。

水江未来

僕のアニメーションの『MODERN No 2』(モダンナンバーツー)の曲を作ってくれたアーティストの人なんですけども、Twoth(トゥース)さんいうミュージシャンの方がいて、今度上映する上映会のINTO ANIMATION8(イントゥ=アニメーションエイト)のオープニング映像の音楽も作ってくださってる方です。そのTwothさんの楽曲で、「労働讃歌」という曲をお聴きください。

MODERN No.2

Twoth(トゥース)さんの曲について

迫田

はい。ではお聴きいただきましたのは、Twoth(トゥース)さんで「労働讃歌」になります。あのそうですね。まさにINTO ANIMATION(イントゥーアニメーション)の話をするにうってつけの、INTO ANIMATIONの楽曲も作られている、Twothさんということで、なんかいろいろな戦友としてのいろいろなエピソードがあるのかなと思うんですが。

水江未来

そうなんですよね。で、Twothさんはですね、ご自身おっしゃってるんですけども、本名は須田伸一さんで、須田伸一さん名義でも活動はされているので、須田伸一さんの名前もちょっと出していこうと思います。まあTwothさんって呼ぶとちょっと呼びづらいのでこの後は須田さんでいきたいと思います。須田さんはですね、あのそのご自身のこう曲を作るときに、アニメーション的に作ってるってことをおっしゃってるんですね。自分の音楽はアニメーションだっていうふうに捉えていて。そのまあ、あの「労働讃歌」という曲以外にも、あのたくさんいろんなあの楽曲を作られてるんですけど、あのすごく実験的な楽曲もあれば、ボンジュール鈴木さんをボーカルに迎えた楽曲もあったりとか、あともう全体的にすごくこう遊び心とかいたずら心みたいなものがすごくある曲があったりとか、あの凄くこう聞いていると、いろんなその音のわくわくする感じっていうのがあるんですよね。それってなんか僕が作るアニメーションもちょっと似ているところがあって、あの僕の場合、その実際にその形や色が動くことで、なんかあの、キュートさ。動くキュートさとか、そういったものをこう描いたりとかもするんですが、なんかそのTwothさんの場合は、本当にその音楽が、ひとつひとつのサウンドが、あのキャラクターのような感じがするっていうのがすごく特徴として、えっとあるのかなというふうに思います。

迫田

今でもそのTwothさんのお話を聞きながら少し調べてみたんですけども、あのあれですね。その水江さん絡みで言うと、京都市動物園さんとの取り組みもあったりして。いや、僕、京都市動物園がすぐ近所で、徒歩で5分くらいで散歩でしょっちゅう行ってるんですよ。あそこのチンパンジーがあの曲を作ってくれたんだと思って。いや、京都市動物園の話してもあれなんですけどすごい類人猿に力入れられてるじゃないですか。そのなかなかこの人間的な理解としては、どう解釈すればいいんだろうって感じの曲ではありますけど、なんかすごい面白いですよね。で、そのTwothさんが今度行うINTO ANIMATIONのオープニングの曲を担当されてるってことなんですね。

水江未来

そうですね。オープニングアニメーションの曲を作ってくださっていますね。で、なのであの、 まあ、プロモーションムービーでもあるので、あの告知映像として、あの、ネットとかでもこう、あの現時点ではまだあの発表してないんですけども、まあまもなくあの告知映像としても、あの音楽の方は聴けるようになります。

迫田

INTO ANIMATION自体が実際の開催が、今年の2023年の8月4日から8月7日ということで、あと一ヶ月ぐらいですね、これは国立新美術館で開催されるということなんですが、どういった催しになるんでしょうか?

イントゥーアニメーション8のプラグラムについて

Into Animation 8

水江未来

えっとINTO ANIMATIONはですね、日本アニメーション協会っていう、えっと今、僕が会長をさせていただいてるんですけども、アニメーションのまあクリエイターの人達であったりとか、まあプロデューサーの人とか、あと研究者の人やまあ、その他のアニメーションの教育に携わってる方とか、いろんな方が会員として所属しています。最初の会長が、あの手塚治虫さんなんですよね。

1978年に今の団体はスタートしていて、で、このINTO ANIMATIONっていうのは、まああの数年に一回のペースで開催されている。まあ、会員が作った自分の作品を上映する上映会なんですね。なので流すのは、まあ、基本的には短編の作品が多いです。で、まあ短編の中には、オリジナルの作品もあれば、ミュージックビデオだったりとか、あとはあの子供向けの番組のアニメーションだったりとか、いろんなものがあるんですけども。

迫田

これは誰でもその時間は入っていっていいものなんですか?

水江未来

これ入場無料なんですね。全部で数えたら150ぐらいあったんですけれども、150くらいの作品見ることができます、4日間全部行くと。結構なボリュームですね。割ともう一日中ずっとやっています、アニメーション上映が。

新作の作品を中心にしたプログラムが全部で5つあるんですね。それぞれこうファンタジーとか、アドベンチャーとかテクニック、ヒューマンドラマ、そしてファミリーっていうふうにこう見出しをつけて、まあ、それぞれに会員の作品を分けて、上映しているっていう形で、それ以外にも特集のプログラムで、例えばアニメーション協会の名誉会長が古川タクさんという方なんですが、その古川タクさんのこれまで作ってきた短編の作品を特集するプログラムであったり、大塚康生さんの功績について語るまあトークプログラムがあったりとか、あと90年代のアニメーションを特集するプログラムとか。

あとは実験アニメーションを瞑想体験として捉えて上映するという瞑想する実験アニメーションのアニメディケーションっていうプログラムがあったり。他にもですね、韓国のインディペンデントアニメーションについてわかるKIAFAという韓国のアニメーション協会があるんですけども、インディペンデントアニメーションプログラムがあったりとか、色々他にもたくさんありますね、コマ撮りアニメーション特集とか。

上映だけではなくて、アニメーションスタディっていう名前で、これは研究者の会員の人たちの企画なんですけれども、ドイツで行われているニッポンコネクションっていう、日本映画祭がドイツで毎年行われているんですね。それについての紹介するプレゼンテーションがあったりとか。あとコラボレーション、アニメーションコラボレーションっていうのがこうあるんですけども、要するにオムニバスでいろんな人が作品を作って、一つの映画として上映して、解説していくっていうプログラムがあったり、他にも山田 遼志さんと森田 宏幸さんの2人の作家の対談があったりとか、まあたくさんありますね。

迫田

たくさんありますね。でもこれあれですね、見た感じだと、90年代のアニメーション座談会もある中で、アニメディスカッションで2020年代アニメシーンを占うというのもあったので、新旧さまざまな時代を飛び越えてさまざまなものがあったり、ドイツや韓国のこともそうですし、とらのあな持ち込み上映会これもなんなんだって思いますし。

水江未来

持ち込み上映会は若い学生とかアニメーション作り始めたばかりの人が持ち込みでここで上映できて、アニメーション協会の会員の人がコメントするっていう上映会で、『この世界の片隅に』の片渕須直監督もアニメーション協会のメンバーなんですけど、片渕監督がコメントをしてくれます。

アニメが横断し始めて、混沌としているが刺激的である

水江未来

なんかその今回そのプログラムを考えていく中で、やっぱり思ったのはこういう日本アニメーション協会にいるメンバーたちが作っているアニメーション作品というのは、例えば、その多くの人たちは、その会員の多くの人たちは、いわゆる商業スタジオで作られているアニメーションとはまた違うアニメーションなわけなんですね。日本のアニメーションでいうと、どうしてもそれが指すのは、商業スタジオで作られてるアニメーションのイメージがすごく強いんですけれども、でもその歴史を振り返ると、テレビ局の黎明期の時代から個人アニメーション、個人ベースで作ってるアニメーションというのはたくさんあって、ずっとそうこう歴史があるわけですけども。

やっぱりその今回プログラム組む中で、そのいろんな方向に、ものすごく拡張しているような感じがあって、なんかこう、この日本アニメーション協会のメンバーが作ってるアニメーションっていうのはすごく今の時代にその多様なアニメーション表現に触れるっていう意味ではものすごくその多様さを前面に押し出したものをなんか提示できるんじゃないかっていうふうに、実際、組んでいて今感じている感じですね。

迫田

確かに会員の分布もさまざまな時代のアニメーションを通られた方がいらっしゃって、新しい方もいらっしゃって。まさにおっしゃるように、最近でこそアニメという表現を用いたアウトプットが商業や市場原理に乗ってきて拡大し、産業として成立して来ているから、やっぱりその側面で言うと、深夜アニメからのムーブメントがアニメというふうに見られるのですが、商業観点から言うとそうかもしれないが、ずっとこうアニメという表現を用いたものってすごくさまざまあって、それを一挙に見れることで、まあよりアニメというものが持つ様々な可能性を横断的に見れるっていうのはなんかすごいいいなあと思いますね。

さっきの言葉が不自由っていう話につながると思うんですけど、アニメって一言で話すときにやっぱこう、年齢で区切るのも違う話かもしれないですけど、まあわかりやすく話すと、やっぱ90代の方がアニメっていう時のアニメと、2020代のアニメっていう時のアニメって、双方でおなじアニメの話をしててもぜんぜん違うものが頭に浮かんでるんだろうなっていう感じが凄いこうする。あのちょっとね、話ずれちゃうかもしれないですけども、特にクライアントさんからいただくお仕事の場合ってよくありますよね。

水江未来

そうそう。あります、あります。クライアントとか代理店がアニメ風で、って言ってるそのアニメは「何を指してるんだ?」みたいな。

迫田

ありますよね。まずは解明するターンから始まるっていう。でもそれぐらいアニメという言葉が市民権を持って、みんなが知ってる言葉なんだろうってことの現れでもありますよね。

水江未来

そうですよね。本当最近とかは学生とか話していると、例えばそのカートゥーンネットワークしか見てないっていう人もいたりしますし。日本のアニメ興味なくてカートゥーンネットワークだけ見てきてカートゥーンネットワークすごく好きでとか、なんか本当にその今もうどんどん細分化して。興味あるものが分かれていって、同じものを共通で見てるものがすごく少なくなっていってる時代ですよね。

迫田

いや、そうですよね。まあ、お茶の間があってテレビを見てた時代はやっぱアニメに、みんなアニメの共通の原体験が多分あったんでしょうね。INTO ANIMATIONの話もお聞きしてきた中で、本当エピソード3にわたって水江未来さんの過去というか、両親による映画の英才教育を受けていたというか、それが繋がって今に繋がっていること、あと何年先の未来になるかはまだわからない状態かもしれませんが、長編アニメーションにチャレンジしておられるというところもお話もお聞きできて、僕的には非常に色々楽しかったですし、個人的には作られてるミュージックビデオの細かい深掘りとかが個人的な趣味的にしたいところがあるので、またどこかでそれはお話をお聞きできるとうれしいなと思ったりしております。

水江未来

ぜひぜひ、お願いします。

迫田

最後に水江さんの方から、INTO ANIMATIONのことにもなるのかもしれないですし、ほかのことかもしれないですが、何かお伝えしたいこととか、お話したいことがあれば、最後にいただければと思いますがいかがでしょうか?

水江未来

そうですね、なんかあの今、最後に出てきた話とかも、本当にアニメーションがみんな見てるものがこう違うもの、いろんなものがたくさんあって、それぞれ好きなものを見ていて、どんどんどんどん細分化してっていうのは、これから先、どういう風になっていくのかがこうね、わからないですけれども。でも今、そのアニメーションを作る現場でもすごくこう、なんか壁がなんかだんだん無くなってきてるのかなって感じがすごくするんですよね。要するに商業スタジオとインディペンデントの作家みたいな分かれ方ではなくて、商業スタジオにインディペンデントでやってた人が、監督としてそこに入って作るようになっていたりとか。

要するに、SNSで作ったものを発表している若いクリエイターが、どんどんミュージックビデオを作るようになってたりとか、商業スタジオに所属することを経ずに、一見、商業アニメーション的なルックスなんだけれども、要するに個人で作るならではの演出がものすごくこう含まれている映像作品っていうのがどんどん出てきたりしていて、「#インディーアニメ」で一つこうムーブメントができていたりとか。あとはやっぱりコマ撮りもすごくSNSとの親和性が高いですね。フィギュア動かして、映像的な驚きがあって、そこでバズったりとかありますけども。非常に今、そのアニメーションっていうのはすごく面白い時代に入っているんだと思うんですよね。これまではジャンルが違うからっていうところであまり交流がなかった部分がだんだんとこう関わりが出てき始めて。

まあ、ここからそこにそれがどうなっていくのかわからないですけども、 非常に刺激的な時代なのかなと思います。とは言いつつAIが出てきて、さらにそれも一体どうなるのかみたいな、なんかもう、混沌とした時代ですよね。なので、その混沌としているところをものすごく楽しみながら、作っていくってことを僕はこれからやっていきたいなと思っているので、まあ、今アニメーションを作ったり、映像を作ったりしている人たちは、本当にこれからいろんな変化が起こることを楽しんでやっていくといいのかなというふうに思いますね。