この記事はポッドキャスト番組として以下のメディアで聴くことができます。
ゲスト、パーソナリティ
ゲスト:たろちん
1985年生まれ。本名・大井正太郎。 2008年、ニコニコ動画で「たろちん」としてゲーム実況を開始。Webニュースサイト「ねとらぼ」のライター・編集者を経て、現在フリー。 お酒をこよなく愛する人間だったが、2022年に「重症急性膵炎」という大病を患い膵臓の3分の2が壊死する。現在は生涯禁酒の身。
パーソナリティ:しおひがり
イラストレーター / 漫画家 1989年生まれ。東京都在住。 淡いタッチで描かれたユーモラスでロマンティックなセリフを言う女の子のイラストが特徴。『チープアーティスト』を自称。 学生時代にTwitterへのイラスト投稿やUstreamでの生配信を始める。卒業後は素材メーカーへ就職するも、仕事中にサボって描いたイラストやショート漫画がバズり依頼が増え始めたことから一念発起して退社。専業の『チープアーティスト』となる。
SKOOTA 編集部員:迫田祐樹
通信会社、総合広告代理店を経て、アニメ企画&制作会社を起業し、MV〜映画の映像プロデュース。2021年に京都に移住し京都のエンタメ産業の盛り上げにも着手。直近ではマンガやオーディオのエンタメ領域にも従事。オーディオドラマ、webtoonの企画&制作中。加えて複数のエンタメ会社のプロデューサーやアドバイザーをつとめる。
全体の目次
#01
・たろちんとしおひがりの出会い
・酒を飲み交わす青春の日々
・釣りバカ日誌を見る母に学校に行かないことを告げる中2のたろちん
・テキストサイトをやる中で友達を作るために大学にいく
・何者でもない自分を自覚し始める
・有名実況者の腰巾着で繋がりができ始める
・その繋がりの中からライターの誘いを受ける
・悲しい目をして街をさまよい歩く時期に
・いつの時代に聴いても普遍性があるエレファントカシマシ
#02
・ドリキャスからインターネットに入る
・「先行者」を面白おかしくいじった「侍魂」との出会い
・伝説のしおひがりのモンスターファームUSTREAM配信
・居心地の良い村がインターネットにあった時代
・コラボが否定的だった時代もあった
・インターネットをやってるだけでクラスタや人間性を表現できた
・インターネットが自分のものじゃなくなった感
・40代50代でも「たろちん」でお届けしていくしかない
・星野源に教わったこと
・薄めの哲学を塩でいただく時期にて
・しおひがり、たろちんの手が震えてないことに安心する
#03
・生き残ったが人生観、死生観は変わらないことを確認した
・「死にかけたが変わんなかったぞ」ということを言える権利をもらった
・格ゲーをやるようになった
・コロナ禍で逆に安心できたこと
・見ないふりをするのがしんどい
・どうせ悩むしどうせつらい
・意味のある人生を送るために行う翻訳
・「お前の文章は読みやすいわ」と言ってもらうことが嬉しい
・面白いポイントを説明したくなっちゃう
・事実だけではなくて、キャッチーさが必要
・右脳的な意味を、左脳的な言語を用いて伝えたい
たろちんとしおひがりの出会い
しおひがり
今回のゲストはゲーム実況者であり、ねとらぼのライター編集者を経て、現在はフリーでご活躍されているたろちんさんです。
たろちん
たろちんです。よろしくお願いします。
しおひがり
よろしくお願いします!
たろちん
述べたね、長々と口上を。
しおひがり
そうですね、長々と。メモ帳に書いてんだよこれ。
たろちん
述べるなと思ってた。じゃあよろしくお願いします。
しおひがり
よろしくお願いします。改めてプロフィールの方を紹介させていただきます。
1985年生まれ。本名・大井正太郎。 2008年、ニコニコ動画で「たろちん」としてゲーム実況を開始。Webニュースサイト「ねとらぼ」のライター・編集者を経て、現在フリー。 お酒をこよなく愛する人間だったが、2022年に「重症急性膵炎」という大病を患い膵臓の3分の2が壊死する。現在は生涯禁酒の身。
たろちん
よいしょ。
しおひがり
いや、大変でしたね、一昨年は。
たろちん
ね、そうなんです。しおひがりくんがね。このポッドキャストのゲストで出た回で、「最近友達が死にかけてて」とか言ってた。
しおひがり
ああ、そうそうそう、そうだ、そうだ。
たろちん
これ俺だな、と思って。後に聞いて。
しおひがり
そうか、その時に俺がこのラジオにゲストとして出させてもらった時にインナージャーニーっていうバンドの「グッバイ来世でまた会おう」っていう曲を紹介させてもらって。で、そのたろちんがさ、死にかけてる時に俺すげえ聞いてたんだよ。でたまたま流れてきたので、それが。何か、アップルミュージックか何かで曲をランダムで再生してて、「グッバイ来世でまた会おう」がかかってさ。
で、その内容がさ。何か、俺が死んでも君の庭に猫として現れるぜ、みたいな内容で、俺はもうその時たろちんとすげ重なっちゃってさ。
たろちん
猫にならんとしている。
しおひがり
猫にならんといてくださいよって話でね。
たろちん
いやなりかけたわ。
しおひがり
なりかけたね。だから奇跡の生還で良かったよ、本当に。
たろちん
なんやかんやありましてね。
しおひがり
いやぁ、ありがとうございます本当に。こうやってねえ、ラジオにも出ていただいて。
たろちん
そうなんですよ。
しおひがり
なんかたろちんと会うたびにさ、今度何か一緒に面白いことやれたらいいですねって。
たろちん
みたいなことを。
しおひがり
おっさんみたいなことをずっと言ってたから。今回ついにまあその足がかりになればなと思って。
たろちん
そうだね。だから何だろうね。だから昔、がりくんと元々出会ったのはもう10何年ぐらい前ですけど。
しおひがり
15年ぐらい前だと思うな。
たろちん
だよね。だからその時はまだ僕はフリーランスだったんですよ、バリバリの。
しおひがり
フリーランス、まあいいように言えば、フリーランス。
たろちん
良いように言えば。ただのフリーターというか、もう何の仕事してないだけの。
しおひがり
無職だったよね。
たろちん
無職で、がりくんに金を借りては毎週飲みに行くみたいな。
しおひがり
いやぁすごかったね、あの時ね。いやー、今思い返しても俺、あの時が人生で一番酒飲んでたね。だって週3くらいで会ってたよね。
たろちん
週3でまじで会ってた。
しおひがり
大学生の時ならまだわかるんだけど、その後俺、就職して新入社員の時でも週3で飲んでたもんね。
たろちん
だから週末となればがりくんから新宿だ何だって呼び出しかかって、待ってましたとばかりに俺は金借りに行って、朝までだって言って。
しおひがり
いやそうだよね。そう、なんか金曜日に朝まで飲んで。で、その次の日っていうか、その朝別れる時にじゃ、また後でねって言って別れて。
たろちん
夜、また集まって。
しおひがり
夜、また集まってね、あれすごかったよな、壮絶だった。
たろちん
そのころ相当やってたわ。
しおひがり
やってたね、何をあんなに話すことがあったんだろうってね。
たろちん
ねぇ。何か何つうのあれはあれである種の青春だったな。
しおひがり
いやそうだね。だからそう青春長くやらせてもらったなっていう。なんか、今思い返せば、うん。まあ、楽しかったよね。
たろちん
そうそう。だからそういう時期があって、その頃は結構遊んだり。何かそれこそね、「一緒に面白いこと」と称して遊ぶだけの配信とかやったりしてた。
しおひがり
したてね。そうね、伝説のね。
たろちん
それを経て、まあ僕もその後やっぱ色々あって就職をしまして、ちゃんと会社員になったわけよ。で、逆にがりくんはイラストでちょっとはねてフリーランスになって。
しおひがり
逆なんだよね。
たろちん
それで逆になった結果、あんま会うことなくなったわけじゃん。
しおひがり
そうだね。一時期そんな会ってなかったね。
たろちん
タイミングがなくなったりして、年に1、2回飲んだりはするけど。
しおひがり
そうだね。
たろちん
だからそのたびに「また面白いことしたいっすね」、みたいなことを言って。
しおひがり
そうなのよ。
たろちん
俺は会社へ行かなきゃいけないとか言って、またやってたけど、最近僕またフリーランスに戻って。
しおひがり
いや、もう遂に。だって待望よ、俺も。
たろちん
待望(笑)。
しおひがり
たろちんがようやくまた無職になったっていうので。
たろちん
無職に戻ったから(笑)。で、こういう機会をいただいたという経緯ですね。
しおひがり
そうそうそう。何かね。せっかくの年の初めだしね。今年は何か1発かましていきたいなっていうのがあって。俺、今年の目標がさ、2億円稼ぐだからさ(笑)。
たろちん
まじで?今年なんだ?
しおひがり
そうです。今年1発で。
たろちん
すげえ。
しおひがり
2億円、やっぱ目黒区にさ、マンション欲しいからさ。
たろちん
陳腐な夢だなぁ。
しおひがり
そうなんだよね。だけど迷ってんだよね。その2億円を年利5%で運用すれば、年間1,000万円手に入るから、それで暮らしていく。いわゆるFIREするか、その1発2億円でマンションを買うかですげえ迷ってんだよね。
たろちん
はいはい。ええええ。どっちだろうね。君はたぶんね、FIREするね(笑)。安定思考だから。
しおひがり
よくわかってんね。俺もそう思うよ。
たろちん
でっけぇことしましょうよとか言う奴って大抵できねえから言うんですよね(笑)。
しおひがり
そうなんだよね。
たろちん
カチカチだから(笑)。
しおひがり
そうなのよ。
たろちん
うん、なるほどね。
しおひがり
という感じでとりあえず。いや、このままね……これ罠なんだよね。このままダラダラいっちゃうんでいつも。
たろちん
ちゃんと話してください。
しおひがり
それで曖昧に事が進んで行くからちょっと今回は。いや、俺これ3回目の収録なんだけど、それで前回、2回そうなったからちょっと反省して。今回はこうかっちりバシッと切っていこうかなって。
たろちん
流れを作って。
しおひがり
流れをね、そうそう。
たろちん
いいですね。
しおひがり
ということで。
たろちん
はい。
しおひがり
どうですか、最近?
たろちん
おまえ……!一緒じゃねえかおまえ。何もないパスですわ。
しおひがり
えーっとまあ、だからまずゲーム実況者として、そのなったきっかけみたいなのをまず聞いていこうかな。
たろちん
分かりました。だから、順を追って話せばいいね?
しおひがり
そうですね。これはもう勝手にやってよ。
釣りバカ日誌を見る母に学校に行かないことを告げる中2のたろちん
たろちん
だからね(笑)。勝手にやるけど、まあそもそもずっとインターネットと共にあった人生なわけです。
しおひがり
そうだよね、特にね。そう、たろちんは。
たろちん
そう。で、たろちんという今やってるこの名前は2008年にニコニコ動画でゲーム実況を始めた時に「たろちん」という名前で動画を投稿してて、それがきっかけで声をかけてもらってフリーライターになって。で、その流れでライター・編集者という生き方をして現在に至っている。と、いうことで、インターネットずっとやってきて。最初にインターネットやったのが中学生の時なんですよ。そっから。これ昔から色々言ってるんだけど、中学2年生まで僕めちゃくちゃ真面目で。
しおひがり
あ、そう。
たろちん
学校とかちゃんと行って、先生の言うことをちゃんと聞いて、悪いこととか一切してない。赤信号でちゃんと立ち止まるみたいな。
しおひがり
タイプのね、左右確認して。
たろちん
そうそう交差点で100円拾ったら交番に届けに行くみたいな。
しおひがり
えらい。
たろちん
もう超型にはまった…。
しおひがり
カチカチだったんだ。
たろちん
カチカチの真面目人間。まあ怖くて。要するに、怒られるのとかが。なんだろう、先生に怒られるのが嫌でやりたくもないし、興味もないけど宿題とかちゃんとやっていくみたいな。引っ込み思案系真面目タイプなんですね。
しおひがり
わかるわかる。
たろちん
中学生って大体何かみんな反抗期みたいなことを言うけど、僕は何かその辺が親とかじゃなくて、そういう何か常識みたいなとこに向きまして。義務教育とかって言ってますけど、それって誰が決めたんですかみたいな。何かそういう――
しおひがり
リトルひろゆきみたいな。
たろちん
リトルひろゆきになって、まじで。ひろゆきみたいなことを言う。だから、「真剣10代しゃべり場」とかで深いこと言ってるやつにめちゃくちゃ共感してて。
しおひがり
あ、なるほどね。
たろちん
俺はあれだと思って、中二の時に「俺、もう学校の勉強とか意味ないから行きたくない」って母ちゃんに言ったんよ。でそん時に母ちゃんは釣りバカ日誌見てたんだけど。まあいいんじゃないって言って、肯定した(笑)。
しおひがり
ああそうなんだ。じゃあ、結構理解のあるというか。
たろちん
理解がありすぎて。普通はダメだよとか言われて、そうだよなっつって。また明日から学校ちゃんと行くんだろうなぐらいの感じだったんだけど、全然そういう叱りとかがなかった。良いんだって思って本当に行かなくなっちゃった。
しおひがり
それはじゃあ、もうある種びっくりした反応だったっていうか。そうだよね、普通止めるもんね。
たろちん
「でもデメリットあるよ」とかなんか止め気味に来るかなって思ってたんだけど。「やりたいことをやった方がいいよ」とか、そういうのすごい肯定してくれる母ちゃんで。だもんで、やったーみたいな感じで行かなくなっちゃって。
しおひがり
そうか、そのまま行かなかったんだ。
たろちん
厳密には学校は行くんだけど、授業は受けないみたいな。ちょっと変則の不登校児みたいな。
しおひがり
なるほど。え、給食だけ食うみたいな?
たろちん
そう。朝の会行って、相談室みたいな部屋があんだけど、その半不登校の人用。学校にまず教室行かなくてもいいから相談室だけ来てごらんとか。授業でなくていいからまず学校に来ることだけやってごらん、みたいな部屋があるんだけど。俺は一回教室行って、朝の会出てからその部屋行って。で給食とかそういうのだけ教室に戻る。あと体育祭みたいなのは一応出るみたいな。
しおひがり
あ、じゃあ普通にクラスメイトとコミュニケーションをとってたってこと?
たろちん
一応、何かいるみたいな。
しおひがり
変な感じにならないの?大井君何か変わってるねえみたいな感じでもない?
たろちん
いや、まあ多少あるんだろうけど、ウチそんなに荒れた中学とかでもなかったから、みんな何か普通に「大井君はそうなんだなぁ」ぐらいの感じ。
しおひがり
結構、みんな理解のある。
たろちん
どっちかっつーと俺が変、こじれてたから。あいつらはなんかレベルが低い、みたいな何か。
しおひがり
あるね、この星の文明レベルが低すぎるんだよなぁみたいな時期あるよね。
たろちん
みたいに俺が勝手に壁作ってて何かそういう感じだったんだけど、そういう中学生生活送ってまして。そんな感じだったから勉強意味ねえし、高校とかも意味ねーから行かない。つって受験も何にもしないで行かなかったんですよ。で、それで何するかというと、別に特に何にもしないでフラフラしてるだけなんだけど、その時にインターネットと出会いまして。中3でほんと卒業するぐらいでパソコン買ってもらって、ホームページ作って、テキストサイトっていうのを始めたんです。
しおひがり
あの当時流行ってたもんね。
たろちん
流行ってた。そうそう。そん時にインターネットで文章を発表するというのに目覚めた。当時、動画とかできないから。FLASHとかがちょっとあったぐらいで。
しおひがり
そうだね。
たろちん
技術がそういうのはないから文章だったら書けるぞと思って。元々本とかを読むのはちょっと好きだったし。俺も作家みたいなのなりたいな、でも小説書くとかは大変だから、って思った時に目の前にインターネットがあった。それでテキストサイトをはじめたっていうのがあって、それがインターネットとの出会いなんですね。
しおひがり
なるほどなるほど。
テキストサイトをやる中で友達を作るために大学にいく
たろちん
そのテキストサイト自体は別にそれで成功したとか、何にもないから、何者にもなれず、やっぱり友達がいた方がいいなって反省して大学に行き始めるんだけど。
しおひがり
ああ、そっか高校は行ってないんだっけ?
たろちん
高校は行ってない。大検っていう、今でいう「高卒認定試験」を受けて。それで一応現役の年代で大学に入りました。
しおひがり
ああ、なるほどな。かなり珍しいよね。レアだよね。
たろちん
何か変な回り道をした。それで大学行って、そっから反省してちゃんとなんか他人を下に見ないみたいな、何者でもない自分みたいなのとかをすごい自覚するようになったし。なんか結構人間性がそこで完成した感じ。
しおひがり
そこで結構達観した感じになったんだね。なるほど、なるほど。
たろちん
そう。でまあそんなのがあったから、大学は普通に楽しくやって、そこで酒も覚えたりして。お酒飲んだら人と笑顔になれるんだ、これで生きていけるんだっていう、なんか人間性を得た。
しおひがり
なるほど、そこでやっぱ覚えたんだね。
たろちん
そこで完成した。で、それが後の重症急性膵炎に繋がる。
しおひがり
繋がるっていう。元が先にね。
たろちん
そこから始まる。
しおひがり
始まる物語なんだ。
たろちん
そう……で、まあ大学そんな感じでやってたんで、留年して。サークルが楽しかったんだけど、大学は。音楽のサークルやってて。4年間サークルをやると、一応、そのサークルを卒業ってなるんだけど、俺は大学留年してるから卒業できなくて。4年間でせっかくできた友達がみんな卒業しちゃって、暇になっちゃったから、そういえばインターネットやってたなと思って。昔テキストサイトとかやってたなって。
しおひがり
ハイハイ。あそっか、じゃ在学中は結構ネットから離れてたんだ。
たろちん
あんまり。ブログみたいなのチマチマやってたりはしたけど、リアルの生活が楽しいみたいな。
しおひがり
なるほどね。
たろちん
インターネットはちょっと見るぐらいの距離だったんだけど。留年して暇だし、またやってみるかな、インターネットで、と思った時にちょうどニコニコ動画でゲーム実況っていうのが出始めてたんだよね。本当に出始めで。だからそれでなんか俺もやってみようかな?ってやったのがきっかけ、っていう感じかな。
しおひがり
ああ、なるほど。それで結構どうなんだ。たろちん、当時人気出始めたのって何の動画だったでした?
たろちん
人気がでたのかわかんないけど。
しおひがり
いやそこそこの人気はあるでしょ。
たろちん
当時人が少なかったからね。やってる人が百人とかしかいないから、ゲーム実況者。
しおひがり
プレイヤーが少なくて。
たろちん
今だって何億人いるんだレベルで。
しおひがり
まじめちゃくちゃ、全員やってるもんね。
たろちん
人類の2人に1人はゲーム実況者かもしれない。
しおひがり
大ゲーム実況者時代、到来してるからね。
たろちん
当時はそのニコニコ動画全体でも100人ぐらいしかいないから。学校でいう同学年の人ぐらいの感覚で、やってれば「ああ、あの人ね」みたいな、名前ぐらいみんな知ってるみたいな時代だった。
最初2008年の3月か4月かそんくらいだと思うんだけど、やり始めて。でまあ、憧れてた人とか、これ言っていいのかわからんけど、当時だと「ゆとり組」っていうグループがあって、しんすけっていうゲーム実況者ですごい面白い、伝説的な人がいるんだ。
そういう人に憧れて始めてわりとそういう人とかにも覚えてもらえるぐらいの。「君もゲーム実況始めたんだ」みたいな。普通に、それこそちょっとメールしたら飲みに行ったりとか、普通になんかオフ会できたりとか。そのハードルが低い時代だった。
しおひがり
はいはいはい、そうね確かに。
たろちん
なんかこうだから覚えてもらえたっていうのがあったね。
しおひがり
なるほどね。そういうのでじゃあ交流が始まっていったんだ。
たろちん
始まりましたね。そういうのをきっかけに、ちょっと人の繋がりができて。当時俺は「腰巾着」って言ってたけど、有名な実況者の腰巾着とかやってるうちになんか色々つながりができて「ライターやってみる?」みたいな声をかけてもらったりして。
しおひがり
じゃあ、その流れで仕事ももらえるようになってきたっていう感じなんだ。
たろちん
そうだね。それで大学卒業する時も俺、結構単位ギリギリで卒業したから就活ほぼしてなくて。
しおひがり
あ、そうなんだ。
たろちん
そいでどうしようかなって思った時に「ライターっての興味ある?」みたいな言われて。テキストサイトやってたくらいですから、それがむしろ一番やりたいですみたいな感じで、じゃあやってみようかってなって、フリーライターっていう肩書きになった。
しおひがり
あー、なるほどね。その最初に仕事をくれた人っていうのはねとらぼの人だったっていう感じ?
たろちん
ねとらぼとかではなく、フリーの編集の人だった。
しおひがり
あ、そうなんだ。
たろちん
それで幻冬舎っていうところでウェブマガジンがあって、今もう消えちゃって何にも見れないんだけど、「実況野郎B-TEAM」っていうゲーム実況者でやる連載ウェブマガジンみたいなのが始まって。当時のゲーム実況者はゲーム実況以外のことをやるとか、ちゃんとした公的な活動みたいな感じでやるのが珍しかったから、なんかそういうのに興味ある界隈の人とかがちょっと取材してくれたりとか。
なんで、「お、君らって面白そうなことしてるね」みたいな声かけてくれる人が何人かいて、そのうちのひとりの人が後にねとらぼに入る社員になる人で。で、そういうきっかけがあって、僕もねとらぼに後に会社員としてジョインしていくっていう。
しおひがり
ああ、なるほど、そういう経緯だったんだ。
たろちん
そうそう。
しおひがり
……いっぺんこの辺で曲いっときます?(笑)
たろちん
このへんで曲いってみますか(笑)。
しおひがり
はい。なんかどの曲にします?
たろちん
じゃ最初の書いてある方で、いいすか。
しおひがり
はい、じゃアーティスト名と曲名お願いします。
たろちん
はい。それでは聞いてください。エレファントカシマシで「俺たちの明日」。
いつの時代に聴いても普遍性があるエレファントカシマシ
たろちん
エレファントカシマシはですね。中2の時に、ちょうどだから不登校になるぐらいの時にエレカシ聴いて。俺、なんかもっとロックに生きようみたいな時にエレカシに出会って。でそれ以来、ずっと聴いてる感じで。なんかこう好きなアーティストってみんないっぱい聴くのかもしれないんだけど、俺ここぞという時にしか逆に聴かなくてエレカシ。
しおひがり
それ、でもあるな。
たろちん
なんか結構つらい時に聴く感じが多くて。例えばもう中学行かなくて、でもなんつうか俺の人生これからどうしようみたいな悩みの時とか。高校も行ってなくて、友達いなくて寂しいな、でも、自分で選んじゃったしなとか。そういう時とかに踏ん張る時に「戦え男が!」とか言ってるエレカシを聴いてこんちくしょうみたいな、負けねーぞみたいな感じで結構聞いてたもので。
この「俺たちの明日」ってのは俺が大学の時に出た歌なんだけど、歌詞がすごい好きで。宮本が10代20代30代どうだったかみたいなことを歌って今頑張ろうぜみたいなこと言うんだけど。それがめっちゃ恥ずかしい話だけど、自分に重なるといいますか。陳腐なこと言うと、10代は憎しみと愛入り交じった目で世間を罵ってたわけですよ。宮本もそうなんだけど、俺も学校なんか意味ねえみたいな。
10代ってそういう尖った時期があって、20代哀しみを知って目を背けたくって街をさまよい歩くわけですよ。いや、これこの後、また話すかもしんないけど、20代後半のちょうどがりくんとかとめっちゃ飲んでた時期、ほんと仕事もなくて。もう、ある時期から毎日酒飲んで毎日散歩するっていうだけの時期があって、街を彷徨い歩いてたんですよ。
しおひがり
いや、彷徨い歩いてる時期あったよね。
たろちん
あった(笑)。でね、そういう時期とかもあったし、だからそういう時々がすごい重なって。で30代愛する人知ってて、そのための人生だって気付いたみたいなこと言ったりするんだけど。就職したり結婚したりってのも30代であって。
なんかこう、「腹くくって頑張るしかないぞ」みたいな。なんかその必ずしも思い描いてたような人生にその都度その都度なっていかないけど、「さあ頑張ろうぜ」っていう。胸張って生きていこうぜという歌で、これはいつの時代にいつの世代が聴いても何か分かる。結構普遍的な歌なんだ。このすごいポジティブなメッセージというか。宮本ってすごい尖っている人だけど、この2面性があるというか、こういうめちゃくちゃ青春とかめちゃくちゃポジティブなこともまっすぐ言う人で。馬鹿野郎どもがみたいな歌も真っ直ぐ言うし、いやでもがんばろうぜみたいなこともまっすぐ言うから、何かその言ったらダブスタみたいとこなんだけど。
でもどっちも本気で言ってる感じで直球投げるからそれが好きで。だから色々考え過ぎちゃうなって時とかに聴くとすごい刺さるし、まっすぐ生きてかなきゃな、みたいな気持ちになれるっていう歌です。
しおひがり
なるほどね。それいや、そうだよね、確かにね。何かここぞという時に聴くみたいなの。俺もブチ切れた時にだけCocco聴くことにしてるから。ラプンツェルはやっぱブチ切れてる時に聴くと、このやろう!っていう気持ちによりなるから。そういうのいいよね。
たろちん
そのための何つうかね。一番、いざという時の支えの曲というか。
しおひがり
それがたろちんにとってのエレカシっていう。
たろちん
エレファントカシマシでしたね、はい。
#02に続く