2025.07.28 信じられない程に暑い日が続き、毎日溶けそうになるのを何とか堪える日々の中、そんな事はお構いなしに、今月もまたKPOPは我々KPOPオタクに様々な話題を提供してくれました。 その中で著者が最も気になったトピックが、そうミン・ヒジン不起訴の件だ。 以前にも、S2#1で取り上げたHYBE vs ミン・ヒジンの続報なのだが、ミン・ヒジンがADORの経営権奪取を試みたとしてHYBEから背任行為で告訴されていた問題に対して、裁判所が下した判断は、「業務上背任の疑いについて、嫌疑なしとして不起訴」というものだった。 要するに無罪。HYBEはこの決定を不服として抗告してはいるものの、新たな証拠を提出しなければ、ここから判決をひっくり返すのはかなり難しいようだ。 正直、この判決には驚いた。 何故なら、ミン・ヒジンがプロデュースしていたNewJeansもADORを相手に裁判を起こしており、こちらは全面的にNewJeansが負ける形となっていたからだ。 NewJeansは「ADORの代表だったミン・ヒジン氏がHYBEによって不当に監査されて解任され、専属契約の前提が崩れた」として、専属契約解除を宣言し、独自活動を行うと発表したのだが、ADOR側は専属契約は有効として、裁判所に決定を委ねていた。 そして先月、6月26日にNewJeansメンバーの独自活動を禁止する裁判所の仮処分決定が確定した。 この時裁判所は、「ミン氏は2023年ごろから株主間契約内容に不満を抱き、修正を求め、NewJeansを連れてハイブの支配範囲を離脱するか、ADORを独立支配する方法を模索していた」と指摘しており、「ミン氏の行動はADORとその統合構造の基礎を破壊するものである」と判断していた。 さらに「独自活動によってADORがこれまでの投資成果をすべて失う重大な不利益を被る」としたうえで、仮処分がNewJeansの芸術活動の自由を侵害するものではないとし、これにより、NewJeansは一切の芸能活動をADORの承認・同意なしでは行う事が出来ないという事になったのだ。 そう、この時には「ミン氏の行動はADORとその統合構造の基礎を破壊するものである」と裁判所は言っていたのに、今回の業務上背任についての決定は不起訴という我々部外者からしてみると矛盾しているようにも見える今回の決定。 ただ、裁判所の言っている事をそのまま解釈するのであれば、「ミン氏の行動はADORとその統合構造の基礎を破壊するものではあったものの、経営権奪取までは試みては無かったよ」 という事になる。 うん。なんかむしろそっちの方がだいぶヤバい社長のような気がしなくもない。 「経営権奪取を試みていたからADORの基礎を破壊しようとしていた」は理にかなっている気がするが、「経営権奪取は試みてないけどADORの基礎を破壊しようとしていた」は、目的も意味も分からない。もはやサイコパス。 もし本当にそうなのだとしたら、単純にそんな人間の下で働けないだろって思っちゃうんですけども。 いずれにしてもミン・ヒジンはすでにADORを辞めているわけで、HYBEからの訴えも不起訴になったからにはこれで自由に活動ができるようになったわけなのだ。 しかし、ミンヒジンとまた一緒に仕事がしたいと言ってADORを辞めようとしたNewJeansはADORから出ることは許されずという、現状では何とも皮肉な結果となってしまった。 ただ一つだけNewJeansがADORを出る方法があるとすれば契約解除金を支払い、自由になるという選択肢もあるにはあるのだが、ADORの内部試算によればメンバー全員が契約解除した場合の違約金総額は6200億ウォンになるとみられ、日本円にして660億円以上というとんでもない額で実質彼女たちが支払う事は不可能だ。 従ってNewJeansが再び歌手活動を行うためにはADORと和解し、ADORに戻るしか道は残されていないというのが現実だ。 しかもここにきて電撃和解の可能性が韓国のメディアで報じられ始めている。 というのもこれまで一切の歩み寄りを見せなかったNewJeansだったのだが、7月24日に行われた専属契約有効確認訴訟の3回目の弁論期日でNewJeans側の弁護団が「メンバーたちが絶えず要求してきたのは24年4月以前のADORに戻してほしいということであり、無条件にADORに戻らないという意味ではない」 と初めて、ADORに対して歩みよりを見せたのだ。 この弁護団の発言がミン・ヒジン不起訴の件とどう関係しているかは定かではないが、全く無関係ということではないだろう。 不起訴になったことで、ミン・ヒジンがADORに電撃復帰という道筋も僅かながら残されたわけで、そうなったらNewJeansは喜んで戻ることになると思うが、流石にこれだけ揉めに揉めたミン・ヒジンを再び社長に据えるとは考えづらい。 双方が歩みよりを見せ、妥協案を見出すのであれば、NewJeansはADORに戻り、ミン・ヒジンを外部プロデューサーとして雇い、ADORが用意した予算内でプロデュースをしてもらうという形しかないように思う。 ただこれが難しいというのも重々理解している。 ミン・ヒジンは経営権とプロデュース権の両方を掌握してないと嫌だという旨を一貫して主張してきたからだ。 時間がかかると思われていた、この件がここにきて急に動き出した2025年7月。 1年以上に渡って繰り広げられてきた法廷闘争の結末は? 果たして、NewJeansとミン・ヒジンの未来はどこにあるのか? 8月14日に非公開で調停期日を行い、最終宣告期日は、10月30日の予定となっている。 了 猫町ぺこー SKOOTA KPOP部チーム長 〈元々は洋楽ロックオタクで一時期ロッキンオンに就職しようかと思っていたほどの音楽通。BTSキッカケでKPOPを聴くようになりその後BLACKPINKにハマり、KPOP沼に片足を突っ込む。サバイバルオーディション番組『Girls Planet 999』通称ガルプラにどハマりし、ここからデビューしたKep1erのガチオタとなった結果、両足をKPOP沼に突っこむ事となった〉
「KPOPのあれやこれ〜2025初夏〜」Monthly KPOP Chit-chat Season2 #10
2025.06.26 今回はシーズン2の連載10回記念と称して、一つの議題を掘り下げていくのではなく、いつもと趣向を変え今月話題になったKPOPのあれやこれについて語っていこうと思う。 マンネリ打破のため、KPOP Chit-Chatも日々進化しているのであります。 まず最初のトピックはBTSのメンバー全員が兵役を終え帰ってきたことだ。 噂では今年カムバックするとも、来年になるとも言われているが、いずれにせよBTSの完全体カムバックは2022年6月の「Yet to Come (The Most Beautiful Moment)」以来となり(2023年6月にデジタルシングル「Take Two」を発表してはいるが、リリース時には既にJINとJ-HOPEが兵役に就いていたため完全体での音楽活動は行なっていない)、3年もしくは4年ぶりのカムバックとなる。 BTS不在のこの期間、BTSの「MAP OF THE SOUL : 7」が持っていた3,378,600枚というKPOPアルバムの初動売上記録をSEVENTEEN、Stray Kids、NCT DREAMの3組が上回り、中でもStray Kidsはワールドツアーも破格の規模で行い、アジア・北米・南米・ヨーロッパと世界中のスタジアムでコンサートを行なった。 BTSが牽引していたKPOPをBTSよりも若い世代がこの2、3年の間を見事に牽引した格好となった。 では、BTSが戻ってきた今、この構図が一体どうなるのか?というと、正直なところ全く予想がつかないというのが本音である。 現状、KPOPグループ人気NO.1と言っても過言ではないStray KidsのファンがBTSが帰ってきたからと言って、Stray Kidsのファンを辞めるとは考えにくいし、BTSの人気自体も兵役前より下がってる感じも全く無い。 BTSは兵役期間中も撮り溜めていたコンテンツを供給し続け、兵役で居ないことを感じさせない戦略は見事だった。 ただ、KPOP全体の売上や盛り上がりで言うと2023、24年がピークだったように思わなくも無い。 特に日本では、合同コンサートのチケットが如実に売れなくなってきている。 4月12・13日に東京ドームで行われたINGALIVEは人気グループが多数出演したにも関わらず、スタンド席はガラガラでなんとも寂しい景色が広がった。 推しは見たいけど2、3曲しかやらない合同コンサートのために2万円という高額なチケット代は払えないというのが1番の理由だ。 それなら推しの単独コンサートに行く方が何倍も良いに決まってる。 が、しかしBTSが停滞したKPOPを再びブチあげる起爆剤になる可能性は否定できない。 何故なら、日本を含めた多くの国でコロナ禍以降コンサートを行なっていないのだ。 コロナ以降、兵役前にBTSがコンサートを行ったのは韓国とアメリカのみ。 世界中の多くのファンが待ち侘びているのは間違いない。 そんな状況で新曲を発売したら、何万枚売れるのか想像も出来ない。 不在期間をもろともせず、再びKPOP界の頂点に躍り出るのか、今からBTSのカムバックが楽しみでならない。 そして2つ目のトピックは「BOYSⅡPLANET」ことボイプラ2である。 ボイプラ2とは韓国のテレビ局Mnet主催のサバイバルオーディション番組で、著者の推しKep1erを生んだ「Girls Planet999」の男性版で、2023年に放送されZEROBASEONE(通称ゼベワン)を生んだ「BOYS PLANET」の後継番組だ。 このボイプラ2、7月17日からの放送で番組開始までまだ3週間もあるのだが、ここ日本ではもう番組が始まったかのような盛り上がりを見せている。 ではそれはなぜか? 先日、発表された参加者の中にまさかの人物がいたのだ。 その人物とは、現在日本で大人気のガールズグループME:I を生んだ「PRODUCE 101 JAPAN
「KPOP剥がし問題を考える」Monthly KPOP Chit-chat Season2 #09
2025.05.19 今(5月19日現在)KPOP界隈で1番のトピックがなんなのか皆さんはご存知だろうか? というより、今のところ2025年のKPOPで1番の話題を掻っ攫ってると言っても過言では無い。 そうそれは「シュシュ女」である。 去る5月9日(金)〜5月11(日)に幕張メッセにて開催されたKPOPの大型フェス「KCON JAPAN2025」。 Kep1erも出演するとあって9日、10日の二日間著者も参戦した。 KCONはアーティストのライブの他にトークイベント+お見送り会がセットになったミート&グリート(以下ミーグリ)というイベントがあり、このミーグリで事件が起きたのである。 ミーグリに参加するには1アーティストにつき8900円(手数料を入れると約1万円)のチケットが必要で、ほとんどのファンはお見送り会目当てでこのチケットを購入する。 ここでお見送り会とはなんぞや?という方の為に説明しておくと、推しグルの目の前を歩きながら通過して、文字通り推しがイベントから退場するファン一人一人をお見送りしてくれるというものだ。 一言二言なら言葉を交わす時間もあるし、「大好き〜」とか「いつもありがとう」とか推しから直接言葉を頂くことだってできるファンには堪らないイベントなのだ。 しかも通常ならCDを積まないと当たらないイベントで、1枚1500円〜2000円程度のCDを10枚買って応募したとしても当たらないことなんてザラなのである。 要するに2万円近く使っても当たらないようなイベントに1万円で確定で参加できるとあってKPOPオタクからしてみたらKCONサランへ案件である筈イベントなのだ。 が、しかし今年はこの楽しい事が確定していた筈のミーグリお見送り会で大問題が発生した。 それはファンへの過剰な「剥がし」だ。 「剥がし」とはファンとアーティストを引き剥がすスタッフの行為の事なのだが、今年のKCONミーグリの剥がしはハッキリ言って異常だった。 この剥がしを行なっていた、とあるスタッフの女性がシュシュを頭に付けていたことから、「シュシュ女」とX(旧Twitter)上で呼ばれ、その剥がしの映像と共に瞬く間に拡散され「シュシュ女」がトレンド入りするほどの過熱ぶりを見せた。 Xフォロワー数280万人超えで、X界隈最強のインフルエンサーである滝沢ガレソも取り上げ(映像が添付された該当のポストは5月19日現在7.4万いいね、3349万ビューと脅威的な数字を記録)、KPOPの垣根を越えあらゆる人々に「シュシュ女」の名前が知れ渡った。 その後、AbemaTVのAbemaPrimeでも取り上げられたり、霜降り明星・粗品のYouTubeチャンネルでも取り上げられたりと、普段は特段KPOPを取り扱わないようなメディアもこぞってこの話題を取り上げた。 そして、過激なネット特定班はあっという間に「シュシュ女」の個人情報を入手し、ネット上にばら撒き、止まらぬ誹謗中傷の引き金となってしまった。 流石に個人を特定して誹謗中傷までするのはやり過ぎだとは思うが、当日のスタッフの剥がし方は控えめに言っても1万円も支払ってその場に来ているお客さんに対する接し方ではなかった。 著者はKep1erのミーグリお見送り会に参加したのだが、普通に歩いているのにスタッフから押されたし、炎上のきっかけとなったZEROBASEONE(通称ゼベワン)のお見送り会はKep1erよりもさらに酷かった。 拡散された下記のXの映像を見ていただければ分かると思うが、1万円払ってこれだったら誰だって怒りたくなる。 そして、ここで疑問に思う方もいるだろう。 いつもはもっと穏やかで今回が初めて問題になったのかと。実はそんな事はない。 ここ最近のKPOPのオフイベのスタッフの態度は度々問題視されていた。 では何故今回ここまで大きく拡散され大問題になったかと言うと、KCONはスマホでの撮影を原則OKとしていたからに他ならない。 通常の日本でのオフイベは撮影する事は許されておらず(一部撮影可能なイベントもあるにはあるが非常に稀)、たとえスタッフの態度が酷かったとしてもその証拠を残す事が出来ないのである。 それが、今回ハッキリとスタッフの剥がしの映像が証拠として残ったことでこれまで不満に思っていた人たちがここぞとばかりに爆発してしまったのだ。 事態を重く見たKCONも謝罪分をHPに掲載し、現場スタッフを派遣していたイベント会社の「STARTPOINT」もオフィシャルに謝罪文を掲載した。 正直、このような問題で主催側が謝罪するのは相当珍しい。 これまではファン側が泣き寝入りしていたことの方が多かった。 よっぽど抗議が来たのだろうし、それに今回のKCONのメインスポンサーであるサムスンにも何か言われたのだろう。 勿論、迷惑なファンがいるのも否定できないし、そういう輩には毅然とした態度を取るべきだと思う。 だが、ルールを守り大人しく参加しているファンにまでそのような態度を取るのは如何なものなのか。 今回の騒動を機に、今一度イベント主催者とイベント運営会社はファンの事を思った運営に立ち返っていただきたいと強く願う。 ファンは推しに会う為に美容院に行って、オシャレもして会いに行く。 人によっては地方からこの日のために遠征してくる人だっている。 今回のKCONミーグリお見送り会は1万円だったが、CDを積んで当たらないと会えないオフイベの場合は10万円ぐらい使う人だっている。 そんなお金と時間を使って推しとの時間を楽しみにしているファンの気持ちをもうちょっとは考えてほしい。 どこのお店に大金を払ってきたお客さんを無下に扱うお店がありますか? 推しを人質にして、酷い態度を取るのはあんまりでは無いですか? 別に優しくしろなんて言いません。 せめて普通にしてください。 我々オタクの願いはそれだけなのです。 了 猫町ぺこー SKOOTA KPOP部チーム長 〈元々は洋楽ロックオタクで一時期ロッキンオンに就職しようかと思っていたほどの音楽通。BTSキッカケでKPOPを聴くようになりその後BLACKPINKにハマり、KPOP沼に片足を突っ込む。サバイバルオーディション番組『Girls