この記事では、Webtoon企画「ネゴラブ」の立ち上げから制作に至るまでの経緯を詳しく紹介しています。2022年5月にしおひがりさんとプロジェクトメンバーが出会い、初めての打ち合わせを行った際のエピソードから始まり、キャラクターデザインやストーリーの練り直しなど、制作過程の裏側をお届けします。
「ネゴラブ」の企画は、始まりから現在に至るまで、多くの挑戦と発見があり、さらに、制作過程では、技術的な課題や制作メンバー同士の文化的なギャップが少なくなかったことなどが語られます。
Webtoon制作の舞台裏、そして一つのプロジェクトが立ち上がり進行して変化を遂げる過程に興味がある方は、ぜひ最後までお読みいただき、このプロジェクトの歩みを一緒に振り返っていただければ幸いです。
聞き手:迫田祐樹
通信会社、総合広告代理店を経て、アニメ企画&制作会社を起業し、MV〜映画の映像プロデュース。
2021年に京都に移住し京都のエンタメ産業の盛り上げにも着手。
第一章
しおひがりとスクーターフィルムズの出会い
芦塚明子(スクーターフィルムズ・プロデューサー)
それで言うとあれですよ、私たちがしおひがりさんにお会いした日がもう2年前でした。2022年の5月ですね
しおひがり
あー、じゃあもうちょうど2年だ。
原田拓朗(スクーターフィルムズ・代表取締役、プロデューサー)
まあでもその頃よね。 そうだそうだ、なんかすごい大作になっちゃったな。
しおひがり
大作になりましたね〜。
原田
色んな企画集を持ってきていただいたのが2022年7月?
しおひがり
僕が呼ばれたのも、「しおひがーるずボンゴレビアンコ」っていうアニメがあってで、それがどうなんだろう2018年とかですかね、なんかそのぐらいだったと思うんですけど、もともとDMM.futureworksっていう会社があって、そこで「しおひがーるずボンゴレビアンコ」っていうアニメを作ってもらって僕の漫画を原作にしたでえーっとまぁそれが公開されてまぁ1年ぐらい多分やったんだけど、ツイッター上でのいわゆるウェブアニメですけど、それが一旦終わっていつの間にかDMM.futureworksが無くなっててでスクーターフィルムスになってますよっていうのはあのなんか人伝には聞いてたんですね。
それででDMM.futureworks無くなったんだっていう風に思ってたら、しばらくしてその会社が変わりましたよっていう連絡を当時のプロデューサーからいただいて、それでちょっと一回の代表もご挨拶したいみたいな感じなので来てもらえませんか、みたいな感じでプロデューサーさんに呼んでもらって四谷に行ったのが最初ですよね、それが2022年の5月ですね、それで原田さんと芦塚さんとそこで初めてお会いしたって感じで、そこでご挨拶と「しおひがーるずボンゴレビアンコ」か見てました、みたいな話をしました。
webtoonが盛り上がってるという話から、webtoon企画「ネゴラブ」が立ち上がる
しおひがり
その時になんかwebtoonの話を多分したんですよね。業界的に確かにそのwebtoonっていう話をすごい聞くようになってて、「今、webtoonが盛り上がってるよね」っていうような話で、そこで「なんかやりたいっすね」っていう話になったのかな。
芦塚
多分コーポレートキャラの話が先だったんですよね。「キャラみたいなのいいですよね」っていう話をして「全然いいですよ」みたいな感じで言っていただいたので、まず「コーポレートキャラ一緒に作りませんか」っていうのと、その後で「webtoon企画についてディスカッションできると嬉しいです」みたいな話があり、割ともう7月からはコーポレートキャラがスタートしてて、8月にやっと「webtoon企画をやりましょうよ」みたいな感じになりましたね。
しおひがり
そうっすね、割と最初からその2軸でやる、とりあえずwebtoonとコープレットキャラでやるっていう話は割とありましたね。それで8月にお伺いして僕の方で資料をいくつか作ってきて、その中に「ネゴラブ」とかあとは「雷親父に恋してる女」とかなんかその辺のね、あのいくつかのこうアイディアを持っていって。
その中で「100日後に死ぬワニ」に割と影響を受けてて「100年早いわよ」っていうまぁ定番のツンデレキャラのセリフから、「だんだん減っていくっていう、100年からその後世に至るまで っていうような設定の漫画どうすかね」っていうのをお見せして、そしたらすごい反応いただけたんでそれから連載しようみたいな感じになったって風な感じですね。僕がきくちさんと友達だというような話をして、「100日後に死ぬワニ」がツイッターで流行ってたんですよね、それで「じゃあ僕だったらどんなんかな」っていうので思いついたのが、100年からだんだん減っていくっていうが面白いんじゃないかなと思って考えた感じですね。
しおひがり
はい、そうですね、僕なりに何かロマンティックなものを作れないかなと思って、自分で漫画を書いて、それをツイッターに載せていこうかなとも思ってたんだけど、ちょっと僕があまりにも書くのが遅いんで、もうなんかとにかくめんどくさいなってなっちゃって、それで割とこう、あの、まあいつかやるかみたいな感じで温めてたものではあって、それをお見せしたら、えっとね、一場面だけ、もうほんと短いやつなんだけど、せいぜい8ページぐらいのやつかな、のやつを作ってたんで、それを出してたものをお見せしたって感じですね。
原田
4ページかな。4ページほどの意外とに短いんですよ。でもね、あれいいんですよね。
しおひがり
4ページか。そんな短かったか、でもそれであのいいですねって言ってもらって、じゃあ作っていきましょうかっていう風になった気がします。
芦塚
作っていきましょうってなったけど、そもそもそのwebtoon作るのがうちも初めてみたいな状態だったので、それどうしてこうかみたいな、多分初めはあれですよね キャラデザをどうしようかみたいなお話があり、多分しおひがりさんのお友達のAoさんにデザインお願いするのはどうかみたいな、で 割とそんな早いタイミングでデザインラフみたいなのはお願いして。今ディスコード見たら意外と7月にデザインラフが…。
原田
いや、やっぱりもうちょっと早いんじゃないかな、立ち上がりは。
芦塚
企画書の日付は8月になってたんですけど、多分6月にもう2回目にいらっしゃった時に、ネゴラブ見せてもらったのかもしれないですね。
原田
うん、多分そうだと思う。
しおひがり
多分そうですね、6月に行って、じゃあ次までになんか…。そうだ、なんかとにかくその1回目に行った時に原田さんがものすごい喋ったんですよ。すごいものすごい喋って、でなんかとにかく熱意を持って一緒にやりたいっていうことをすごい言ってくれて、それをすごい覚えてるんですけど、それでありがたいなと思いつつ、具体的にどういうことをしたいのかっていうのは全然見えてこなかったんですよ。
なんか断片的にWebtoonがっていう話がいくつかその話の中でワードとしてあって、でなんかWebtoonっていうのは結構頻出ワードだったんで、その打ち合わせ終わった後に帰りにその当時のプロデューサーに、今の話ってWebtoonをやりたいってことでいいんですかね?っていう風に聞いたら、そういうことですっていう風に言ってもらって、あ、それでなるほどってなって、で多分次の時にそのプレゼンをさせてもらったんじゃないかなっていう。
原田
ちょっとうっすらとあの記憶を辿ると、多分その当時普通にWebtoon企画をバンバン作っていこうっていうことはあの当然考えていて、ただしおひがりさんがWebtoonなのか、Webtoonやりたいのか、やるならマッチしてんのか、とかいろいろそのその辺も割と引き裂かれた状態で喋ってた気はします。
世の中によくあるWebtoonとは多分違うよね、でもそれって成立するんだろうか。いやでも俺らはそういうの読みたいしな、とか。多分そういう引き裂かれた話なので、多分よりヒートアップして語っちゃってたんだと思います。こういうの得意ですよね、Webtoon企画出してくださいよって。
しおひがり
はいはいはいはい、そうですね、そうだ、もう完全に探り合いでしたもんね、割とね。なんか結構僕も、そのプロデューサーに、とりあえず来てください、みたいな感じであんまり詳細は聞かされなかったんでで、「しおひがーるずボンゴレビアンコ」の2をやりたいって話がずっとあったんですよ、DMM.futureworksの時代に。だから、2をやんのかなと思って行ってみたらWebtoonの話だったっていう感じでしたね。
芦塚
そうでしたね。しおひガールズで言うと、なんかカルタを作ろうとしてたっていう話が出たり…。
しおひがり
あ、そうそうそう、そうだ、だからそのためにあれなんですよね、あいうえおの全部カナにね、なってるんですよね。あれも大変だったんですけどそうそう、カルタ作るとかね
原田
そうそう、そうなってました。だから裏でね、しおひがりさんのいないところですごいカルタのプレゼンされましたもん、私たち。多分ね、まだ全然野望捨ててなかったと思うんですよね。
しおひがり
読み札を声優さんが読んでくれるっていう。結構あれなんですよ、ボンゴレビアンコの初期の段階からやりてーってずっと言ってたんですよね、当時のスタッフの皆さんが。
芦塚
そう、それでカルタに繋がった理由が、やっぱりしおひがりさんって和歌みたいだから、みたいな話で。
原田
で、ラブレターを書いたんだ。
しおひがり
あ、そうですね。あ、そうだ。それで、とにかく、Webtoonを作ろうっていう風になって、それが多分7月くらいなのかな。デザインを起こしてもらいつつ、キャラデザインを起こしてもらいつつ、僕の方では、テキストでネームみたいな、とりあえず、ネームの前段階ですよね。テキストでストーリーを、数話ずつ、こう、お見せして、いいねとかダメだねとかっていうのをいろいろもらって作っていくっていう段階に入ってましたね。
芦塚
ちなみにたぶんその、しおひがりさんへのラブレターはたぶん、私、CC入ってないんじゃないかな。
しおひがり
それでなんかテキストでお出ししてなんか色々とこう僕の方でもその各話のストーリーの話を考えながらその全体のこういう風に最終的には落とし込み過程、っていうような構想をお見せしたんですよね。そしたらなんかもうちょっと結構その時は割と寝腰がもうちょっとかっこいい寄りだった主人公が、原田さんたちとなんかあのズレがあって、キャラクター像みたいなものに。
そう「なんかそれよりはこっちの方がいいんじゃないか」みたいな話になって、で、なんか僕の方でもそのなんかまあいまいちつかめてなかったっていうのもあって、そもそも僕の作るキャラクターって割とそんなになんか人格があるものっていうのは元々少ないんで、なんか割と一発ネタが多いしストーリー漫画でそんなもうめちゃくちゃにキャラクター設定があるみたいなのがそんなになかったんで、そもそもなんか割と匿名性のあるキャラクターが好きっていうか、なんか村上春樹の主人公みたいな、なんか割とそんなに個性がないキャラクターとかが好きだったりするんで、なんかそういうのもあってまあ割とあのあんまりこう キャラ設定っていう練り込むっていうのは慣れてないのもあって、でそこで原田さんたちはあのアニメとかずっと作っていらっしゃる方だったので、なんかそういうキャラクターの設定をこう練ってっていうのに僕はまあ慣れてなかったんで、えっと、それでちょっとずれがあったですよね。
それでどうしようかっていうのでなんか結構ね、何週間かにわたった気がするんですよね、毎週こういうのはどうですかって言ったら、なんかもうちょっとこういう方がいいかなみたいな、こうキャッチボールしてでその時結構迷子になってたんですよね、僕がでどうしようかなーって悩んでる時にその原田さんからラブレターをいただいた。
多分その僕が悩んでるっていうのを察してくれたんじゃないかなと思うんですけど、結構熱烈なねあのもう、「しおひがりさんはこういうこういうとこがいいんだ、っていう、だからこういうふうに作品に落とし込んでほしい」とかそういう熱いメッセージをいただいてテキストで「ありがとうございます」って言って、で、「じゃあわかりました」って言って「こういうのはどうですか」って言って、「いいですね」っていう風になったって感じですよね、確か。ちょっとあんまり具体的なことを思い出せないんでふわふわした話なんですけど。
芦塚
しおひがりさんが迷っちゃった理由は、多分、プロデューサー側にあって、もう一人いたプロデューサーと、3人のプロデューサーいるみたいな状態で。「多分、ラブコメだよね」とか、王道のラブコメとは、みたいな感じの振り切り方が、多分、みんな各々イメージがあって、「自分の寝越はこれです。 私の寝越はこれです。しおひがりさんどれですか ?」それが結構理由だったかなーっていうのがあって、いろいろロールモデルみたいなのを探らなきゃいけなかったけど、みんなが各々の寝越と葉月みたいなのをブレストしたら、しおひがりさんがこれだ!ってなるかなみたいな感じにしたら、しおひがりさんは後々こう言っていただいたけど僕ちょっと結構空気読んじゃうんですよね、みたいな話があり結構空気を読まれて迷子になるみたいな感じだったかなと思って、初期とか特にそうだったかなと思ってますねー。
あと、Aoさんに入っていただいてキャラデザ探るみたいなのもあったんですけど、結構そのなんだろう、虚無顔というか結局あだち充だよねみたいな感じになって、そのあだち充のコマを結構しおひがりさんが参照してくれて、で、「なんか それだよね」って言って描いてもらうけど、やっぱあだち充にならないので、本当になんかドツボにハマっていった感じが。
原田
なんないんですよねー、割とね、キャラデザにはすごい苦戦しましたよね。
芦塚
そこですよね。結局、あだち充を、しおひがりさんはネームで再現してくれてるんだけど、そのネームから作画にたどり着けないっていう、そこの地獄が一番…。
原田
正直ちょっと辛かったなぁ。でも今自分の書いたラブレターを発見しましたけど、熱いっすね。
しおひがり
いやー、熱かったっすよ。
第二章
原田さんの熱いメッセージもあり進んでいくネゴラブ制作
迫田祐樹(聞き手)
あだち充キャラクターに近づけようと頑張ったが、なかなか近づかなくて苦しかったっていう時期にいろいろ意見のズレみたいなものとかもあった時、原田さんがこういった熱いメッセージを送ったっていうのが一つのシーケンスとしてあると思うんですけど、結果として今の寝越は当時みんなが追い求めていたあだち充のキャラクターに近づいたという印象なんですか?
芦塚
まんがに関してはちょっとやっぱりまだ近づけられてなくて、今開発しているゲームはしおひがりさんが書いた大元のデザインに戻った状態ですよね。なので結果やっぱしおひがりさんのデザインを超えられないっていうのがネゴラブの呪いですね。
しおひがり
なんかそう僕は別に僕の絵がそんなに好きじゃないんで、だからWebtoonの話をいただいた時も、これでようやく自分の書きたい話を書けるなっていうふうに思ったっていうのが結構あって。
自分には作画上の制限みたいなものが割とあって、自分が描けるものしか描けないからやっぱりあの大きな話は書けないし、あのまぁ言ってしまえば作画がまあ得意じゃないから、あんまり自分が書けるものが少なくて背景をビッシリ書くとか、キャラクターに複雑な動きをさせるみたいなのは、まあかなり苦手なんであのそういうものを書けなかった。
で、Webtoonで作画の担当の人が完全に分業性で、僕が話を書いて別の方が作画を書くっていう風な分業性になれば自分が作画の制限なくストーリーを考えられるなっていうのもあって、Webtoonの話をもらったとき、ようやく自分の描きたいものを描けるなっ、ていうふうになったっていうのもありますね。
芦塚
そうなんですよ。だからしおひがりさんが自分で描けないものを描いてもらえるといいな、みたいな話からスタートしたんですけど、しおひがりさんのネームがやっぱ面白すぎて、それがその面白さを維持したままの作画が難しすぎるっていうのが結構なんて言うんですかね、なんかこれやっぱしおひがりさんの絵じゃないと面白くないんだよなっていうのにどうしても行きついてしまうっていう。
しおひがり
そうですね、なんかそういうそういうなんかやりとりがあって、共通言語として出てきたのがそのあだち充先生だったっていう感じかな。僕がとにかくあだち充先生が話も絵も好きで でかなり影響を受けているっていうので、その多分、芦塚さんがおっしゃってるようなその虚無顔っていうような、顔っていうのも多分あだち充先生に影響を受けている顔ですねっていうので、えっとマンガからいくつか興味の顔を抜き出して、「ああこれこれ」っていうのでデザインの参考にしてもらったとかそういう経緯もありますね。
迫田
しおひがりさんの目標としては一人でできなかった表現であり展開みたいなものを、コラボレーティブすることでより高みを目指すといいますか、 幅を増やすという目的もあったと。そしてスクーター側としては、間違ってたら補足してもらいたいんですけど、しおひがりさんの最大の魅力を活かしつつ、それを再現性高くチームでやっていき行ければいいなみたいなところがあった。
今回やっぱプロトタイプとしてやり始め、1作目っていうとこなんで、100 %できたところと、まあできなかったところっていうのがあると思うんですけど、なんか今回のプロジェクトって、どんな感じなんですか、感触として。ここはできたな、ここはちょっともう次作チャレンジだな、みたいな。
芦塚
なんか今思い返してみても、このこれぐらい時間がかかってしまったことに対して何回繰り返しても、これは変わらない気がするぐらい、こう答えがまだつかみ切れてなかった感じはありますかね。未だにしおひがりさんに全部書いてもらいたいって思ってしまって。。。
うちの湯野さわこさんがみつるちゃんを描いてくれて2年間描き続けてくれたおかげで、やっと今しおひがりさんの描いた寝越と葉月の表情集描いたらいい感じに表情が出来てきた!というのが本当に今月。って感じで。
なので、2年間しおひがりさんの描いてくれたネタイラストをもとに、みつるちゃんを描いてくれたおかげで、しおひがりさんのこのラフイラストから拾うっていう作業ができるようになったっていう、そこでチームができてきた感じかなと思って。
原田
そうね。うん。本当そう思う。
芦塚
なので、それやっぱりそのしおひがりさんのラフイラストを拾うっていう作業は、誰がやっても1年2年かかるんじゃないかっていうのが。
原田
なので割とだからみつるをやってきたことがね、活きてるし、つかめたのは大きいよね。
更に深ぼるネゴラブ制作の苦労話
芦塚
ネムラブの話の切り口で言うと、まさにWebtoonってどれぐらいのコマの大きさで、どれぐらいの余白だと読みやすいんだろうとかっていうのをネームの段階で探るみたいなのを割とやっていて、しおひがりさんが毎週の定例MTGの度にちょっとずつネームを進めてもらって、「なんかこれぐらいの感じが良さそうですっ」て言ってクリスタデータ作ってもらったやつを原田さんがもらって、それをまた原田さんがちょっと試しに作ってpdf にして余白見てみたいな、そういうそもそものWebtoonのひな形の作り込み、みたいなのをネームでかなりやってたなーって感じがしますよね。
迫田
その結果、原田さんの中でどのくらいの表示域が一番いいんじゃないか、みたいなその時の暫定解で出てきたんですか?
芦塚明子
スマホで試しにpdf 持ってきて見てみないとわかんないね、みたいな感じにはなって、でもしおひがりさんが何回かそれをやったら何話目か、多分4話目5話目ぐらいで「感覚つかみました!」ってなってましたね。
しおひがり
そうですね、やっぱやっていくたびにね、掴んでいってで、だから最初は長すぎたで、じゃあ縮めますって言って縮めていったんだけど、でもここは逆にもうめちゃくちゃ長くしてスクロールしながら絵巻物みたいにした方が面白いんじゃね、とかこうだんだんこうできることが増えていって、なんかあのそうスマホサイズで全部バーンってコマを並べていくだけじゃなくて、縦長だからっていうフォーマットで見せるみたいな方法もちょっとずつ掴んでいって。
原田
そうですね、今、長さって言ったのはコマの長さですよね。だから割とそのコマを最初のころは、しおひがりさんは割と大きめに切る傾向があったんですよね、ものすごく大きく。で、標準ゴマが大きいっていうでこっちも他のタイトルもやっていく中で、基本やっぱりスマホで標準ゴマに関して言うとスマホの一画面の中に収まってないと読みづらいよ、みたいな一般論としてね、っていうのは出てきて、ちょっと大きすぎですよね、みたいな話もやってみると確かにみたいな。
全部が全部大ゴマだともう読めないんですよねっ、ていうような話なんかをやっていく中で、でもまあずっと単調に続いてもしゃーないからどう緩急つけていこうとかっていう。そこでその演出的にじゃあここは絵巻きものにしちゃおう、とかそういうのができそうですよね、みたいな。なので、あ、だったらちょっとこれ作り直した方がいいですよねっ、ていう 話になってた感じはします。
これ多分大きく2つに分かれると思うんですよね。やたらコマを小さくしちゃう人と、大きくしちゃう人とっていう。スマホの画面をさも日本の漫画の1ページのように思っちゃって、めっちゃ割っちゃうコマをつい描いちゃう人と、割といいじゃんみたいな感じでボーンと描いちゃう。どっちも多分やりすぎなんですよね、そのほど良いラインがあるんだけど、実はほど良いラインってかなり絵コンテなんですよっていう。映像屋さんは絵コンテじゃんって思ってる節はちょっとあって、でも絵コンテは本当に同じコマが並ぶから、あのコマ割りで言うと単調なわけですよね。だからその絵コンテにどれぐらいコマ割りを導入していくのか、みたいな多分そういう部分でもあるかもしれない。
迫田
アニメの人が語るWebtoon論っていう感じになってきていいなぁ、という。
原田
うん、ねえ、絵コンテとか言い出してね。「これだから映像屋は!」って言われるやつですよね、これ。
迫田
原田さん的にはその縦を存分に活かした長いレイアウトもやりすぎで、小さく細く切っていくのもやりすぎっていうのを思いながら、今回のこのベータ版で出ている3話に関してはいい塩梅だなぁと思ってるんですか?
原田
だいぶバランス取れてきたかなと思いますね。最初は特にオープニングのところ大駒の連続でずっとこうやってないと(スクロールしていかないと)情報が…みたいな感じだったのが、それを収めていったみたいな。
迫田
もっと余白広くあったんですね、今も結構余裕がある感じで受けますが。
原田
そうです。わりと普通のWebtoonよりかは余裕ありめだと思いますね。
迫田
この余白がしっかりある部分とかがなんかテンポ感としてWebtoon文法としてある感じもしますよね。
しおひがり
そうですね、なんかまあ僕が圧倒的にインプットが少ないかったから、Webtoonっていうものをほぼ読んだことがなくて、このお話をいただくまで、なんか盛り上がってるっていうのは知ってたんですけど、その当時ね、もうなんかほぼ読んだことがなかったから、まぁちょっと僕も読みながら勉強しながらっていう感じではあって、ただその Webtoonもまだ黎明期というかそのまだできたばっかりの文化ではあって、こっちに来たての文化ではあってだから日本製のものっていうのもそんなになくて。
だからこそこうまだテクニックがこうかっちりしてないっていうか、もうそれもだから本当に日本の漫画のコマをこうただ貼っただけみたいなやつだったり、一方でもうWebtoonっていうその縦長のやつをこう生かしてすごいかなりテクニックを駆使して作られているものもあったりとかで、なんかこうそういうところをちょこちょこっとこう勉強しながら作っていったって感じですかね。
迫田
しおひがりさん的には今のこの感覚みたいなものは自分の伝えたかったネームのペース感にも合ってるなぁって感じなんですか?
しおひがり
まあなんか100%すごくできたかなっていうとそこまでのなんかめちゃくちゃの自信がありますっ、ていうことではないですけど、まあ一応読めるかなとは思いますで、そのネームで切ったものを実際に作画に起こしてもらってから読みにくいなとかもあったりとかして、そこはだから随時そこも時間かけて毎週手入れ持って修正の指示を出して、だんだん直していったって感じですかね。
芦塚
ベータ版の制作でいうと、作画をお願いした方が沖縄の方で意外と学校のイメージとかが共通じゃなさそうみたいな感じで。私としおひがりさんは北関東をすごく 解像度高くわかってるんですけどあれ?これ「北関東の当たり前みたいなことがなかなか伝わらないんじゃないですか?」って気づきもあり。結構学校のイメージとかも具体的にしないと厳しいなみたいなのがあって。
しおひがり
一番は多分だけどその作画の担当の方が漫画を多分あんま読まない方なんじゃないかな。そこで僕も原田さんも芦塚さんも漫画もアニメも見るからなんかそこの漫画では当たり前のものが伝わらない、みたいな。いわゆる漫画の学校の形ってあるじゃないですか、なんかこう。
あのテトリスのブロックみたいな真ん中にこう時計があるとかで、なんかこうキャラクターがこうびっくりした時の顔とかを漫画的に書くみたいなことが記号的に書く漫画の記号がなかなか伝わらなかったりとかして、ここってやっぱりそのもう我々なんか共通してるけど、なんかただ単にそのマンガリテラシーみたいなものは高かっただけなんだなっていうのをなんか新たな発見でありましたね。
芦塚
そうですね、学生のエモさみたいなのを拾えるといいなっていうのが割と理由ではあったんですけど、確かにその漫画的記号が一番伝わらなかったっていうのが結構きつかったですよね。
しおひがり
そう。まあそれは当たり前なんですよね。僕があだち充がみたいな話言っても、ただのおじさんのなんか、何言ってるかわからないって話なんで、そりゃそうだよなと思って。
原田
そう、読まないですよね、(あだち充は)70超えてるおじいちゃんですからね、もうね。
芦塚
でもショックだったのはツンデレが伝わらなかった…。
しおひがり
あ、そうだ、それありましたね。だからそう、2000年代頃に流行った、その涼宮ハルヒとか、エヴァンゲリオンのアスカみたいな、当たり前のこう、記号的ツンデレっていうものがほぼ伝わってなくて、だからこれって、まあもうその絵だけじゃなくて、 「これってどういう意味なんですか」みたいな。
あの、なんかそういう、だからいちいちこう、原田さんが、「これはこういう、あの、この当時流行ったポーズで」みたいな「こうやって指さして、相手を見下す、ツンデレの定番のポーズなんですよ」みたいなことを大真面目にやったりだとか、この表情はこのアスカのこういう感じで、みたいなんでエヴァのアスカの表情をリファレンスで貼ったりとか。でもなんかそれも気づけてよかったなぁと思いますね。なんか当たり前に「はい、ツンデレです」って言っても「ツンデレってなんですか」っていう方は思うだろうし、なんかその辺は気づきではありましたね。
芦塚
いやそう、今の20代前半の人はもうツンデレわからんのかみたいな。
しおひがり
そうですね、その寂しさがありましたね、確かに最近は流行ってないなとは思ってたけど。
原田
意外とやっぱそういうね、もう細い、ものすごい細かく分断されていってんでしょうね。伝わっていかない。昭和が長すぎたんですよ。昭和はそれが繋がってるじゃないですか、もう全部。
Webtoonのフォーマットに慣れるための試行錯誤
迫田
制作の中で共通認識を持っていない人との制作っていうのは、ちょっと深い方の話に差し掛かってくると思うんですけど、どういう言語をチョイスしてどういうふうに言うのかっていうのは結構大事ですよね。
話戻って、レイアウトを含めてなんていうのかな、Webtoonだしスマホ6インチぐらいが今普通かと思うんですが、それで読むには寄りの絵が結構中心的に多くて、やっぱこういう構図がいいよなーっていうのは思うんですけど、結構俯瞰のカットとかを上手い構図で表現されてたりとか、結構面白い構図も多いなと思ったんですけど、これってしおひがりさん的にはチャレンジできたところだったりするんですか?
しおひがり
そうですね、さっき話した話につながるんですけど、あのまぁ僕が書かなくていいっていうのでとにかく最初はそれでうれしくなっちゃって、自分では絶対書けないようななんか下からの煽りだとか大人数を他人数を写すとかカメラを俯瞰にしてみたりとか、なんかいろんな角度からのものを試してみたりとかをやりましたね。
しかももうそのネームでも書くのがめんどくさいから、もう途中からCLIP STUDIOの3Dの人形にポーズを取らせて、それはそれで手間かかるんですけど、カメラを動かしてそれのスクリーンショットを撮って貼り付けていくみたいな作業をしていきましたね。
だからそこは結構チャレンジングな部分では今までやったことはない、まあもちろんあの漫画でネームを書くときに3Dを使ったりっていうのはもちろんあったんですけど、完全その3Dで人形に演技をさせて、それをもうそのままネームにしちゃうっていうのは初めてでした。
原田
ずっとしおひがりさんが人形遊び、人形遊びって言ってて、「人形遊びって結構時間かかるんですよ」ってずっとおっしゃってましたね。
しおひがり
いやもうネームだめちゃくちゃ時間かかりますね。とにかくでだから人形をそもそも人形のサイズをこう何センチの女の子の人形をまず作るところから始めて、なんか指の1本1本とかこういちいちこういちまちまいじったりとかして、で、そっから配置してさらにそのカメラの位置を探るみたいなことをやってたから、結構一コマ一コマを丁寧にやってましたね。だから相当時間かけてやってましたね。
原田
だから意外と制作手法として噂に聞くアメコミと同じじゃないか、みたいな。モデル立たせて撮影してそれを元に絵を描くみたいな。
しおひがり
そうですね、なんかこれはこれで新しいなと。なんかスタジオじゃないけどスタジオで撮影するみたいな感じで背景とかもあのなんか公園だったらその公園でも3Dデータで作っているものがあるので、それをダウンロードしてで置いてそこに人形を置いて撮影するみたいな感じだったから。
まあ今多分当たり前にやってる人は多いんだろうけど、これはこれでなんか割と最新の漫画の作り方なんだろうなとは思います。
原田
割とね、なんかもともとその「当たり」だけでいいじゃん、みたいな話もあって。もうその配置演出だけで行こうみたいな、多分出発点はねそんな話もしてたんですけど、結果的にはめちゃめちゃちゃんと演技させてくれてたんですよね。指先がこうなってるっていうことの意味とかをちゃんと読み取れるから、もう完全にそういう楽しめるものになってるんだけど、それがさっきの話につながってくるんですけど、その文化構造読み取れないからそこまでやってるんだけど、単なる配置図としてしか読み取ってくれてないっていうことに愕然とするみたいななんかそういう感じでしたね。
でも確かに知らん人から見ればのっぺら棒でしたよね、人形の指先の演技とかって読み取れんわなって思うんですよね。だからそこはちょっと過酷な要求をしちゃってたんです。
しおひがり
それも思いましたね。だから途中からはもう本当に結構丁寧に表情も書いて、ある程度でリファレンスの表情の写真とか絵のコマとかを載せて作画の指示をしたりとか、もうあとは毎週口頭でね、作画打ち合わせをしてそこで「これはこういう感じにしてください」っていうのをもうかなり丁寧にやりましたね、っていう感じですね。
迫田
ちょっとネゴラブのWebtoon見てて思うのが、引きの絵っていうのが、キャラクターが画面上小さくなってる絵の情報の抜き方っていうのが非常にいいなと思ってて、なんかそこはすごくあだち充さん味というか情報の引き算がなんかすごくいい感じな魅力的な絵だなっていうのを 特に思いましたね。寄りがやっぱりちょっと色々大変なのかなぁ、みてるのは感じたりはしたんですけど、なんかその辺ってなんかあったりしますか?
原田
いやありますよ、私の感覚でいうと、割とその引きの情報量とかもうまくネームで伝えてくれていると認識していたんですよね。で、我々はそれを把握できているっていう。だけど、やっぱり伝わらなくて基本的には抜きすぎてきてましたね。
実際作画した時でそれにいやそこまで抜くとわかんないから足してくれっていう。だからここまでは足そうみたいな話を割とミーティングでやって、ほどよい塩梅に持ち上げていったみたいなやり方でした。だからそこもね、時間をかけて丁寧にやったんです。
しおひがり
まあとにかく指示を出すっていうのはめちゃくちゃ難しくて。
で、原田さん二人で話して、で、もうこれはもうだから多分まああの僕があんまりこう人に強く言えるタイプではないから、多分させてくれたんだと思うんですけど原田さんが「もうこれやるしかないっすよ」っていうことをまあ簡単に言うと、ちゃんと言うしかないっすよっていうのを言ってくれて、そこから結構具体的に「これをこうしてください」っていう僕の感覚にちゃんと自信を持って伝えるようにして、そこから何かこう割とイメージに近いものになったかなっていうのはありましたね。
迫田
うんうん、なるほどこれちなみに今お聞きしててだいぶ作画の部分苦労されたんだろうなっていうのがすごいエピソードトークから見えてきますね。
原田
作画をよく頑張ってくれたというのが結論なんですけどね。よく私たちに付き合ってくれたな、みたいな。わからんものに対して。
迫田
うん、そうですね なるほど。色ってちなみにどういった意思決定で決められたんですか?
芦塚
色はね、結構おまかせでしたよね。そうなんですよ、 そこ言い忘れてました!想像してない色味であがってきて。
迫田
色が良かったって話ですか?
芦塚
制服とかもお任せですもんね
しおひがり
そうですね、うん。制服のデザインとか。
芦塚
色すごくいいなって思います。その作画の方の。
原田
センスだね。
芦塚
色のセンスがいいんでしょうね。
原田
割とだから最終的には、思ってたラインに着地してきたなぁ、と思いますね。
しおひがりさん特有の台詞回し
迫田
この寝越のね、このウィッドに飛んだ感じのセリフは非常にいいですよね。まあ、葉月はそういった意味ではツンデレが伝わりきらなかったことによる絵への反映は確かに薄いのかもしれないですけど、うん、なんかその辺含めて、なんか、しおひがりさん的にこの3話まで、ではあるんですが ここうまくいったなぁ、みたいなシナリオの流れってあったりするんですか?
しおひがり
なんだろうな、あんまり僕自分の作品についてあんま自分のは内面っていうのは割っていうのもあって、だからどこがまぁちょっと照れくさいっていうのもあって、あんまりこう直視しないようにしてるだけなのかもしれないけど、まぁだからなんか「どこがここうまくいったなぁ」みたいなのは、そんなになんかパッと思いつかないってのがありますね。
迫田
ちょっとテンプレっぽい質問にはなるんですけど、こだわれたポイントとか、こだわってたところとかそういったのもあんまり取り立ててないって感じですか?
しおひがり
こだわったポイントねー。まあでもさっきあ迫田さんがおっしゃってたようなウィットに飛んでるみたいなのはまあ僕がそういうの好きなので、さっきも出た村上春樹とかあだち充とかってその無表情でなんかおかしくていいこと言うじゃないですか。主人公がそういうところが僕は好きで、なんかそういうものが表現できたらなっていうのがついでありましたね、ここはこだわりポイントになるかもしれない。
迫田
村上春樹さんの小説のキャラクターって、しおひがりさんが今、無表情って言われましたけど、小説なので絵があるはずじゃないのに主人公が無表情で喋っていそうな感じがすごいあるんですよね。だからそれが台詞の調子なのか、言葉のチョイスなのか、やっぱちょっと斜に構えてなんかちょっと厭世的でというか、デカダンスな感じといいますか、 なんかそんな雰囲気があるんでしょうね。
しおひがり
そうですね、そういうだからまさに絵がないけど、そういう無表情な感じがわかると、かそういうものを言葉で伝えられたらなっていうのがありましたね。
迫田
結構言葉のチョイスにはこだわりがあるっていうことではあるんですかね。まあそこが原田さんが言われるその和歌というかね、そこにつながってくる。やっぱ感じられている部分で実は絵を描いているが、言葉の方により強い魅力があるということでラブレターにつながっていくんですかね。
原田
この作品に関して言うと、多分これは制作中も何度か話題にした話で、いや特に初期の頃話題にした話なのかな、「お前らもう付き合ってるじゃんか ?」っていう。いや、だってこの二人できてるじゃないですか、もう。だから、できてるんだけどできてない前提にするみたいなのってやっぱり一番楽しいところですよねっていう、その感じがあるんで3本しか公開してないですけれども、3本目の最後とかもね。これで映画は(一緒に)行ってくれるんだ、みたいな。
これはそういうことじゃないですかっていう話だし、もちろん一緒に帰るの30分(早い)っていうのももちろんそうだし、だからそれはちゃんともうすでに達成されてるなというか、逆に言うと早すぎるのかみたいな疑問もあるんだけど、そこを焦らしてもしゃーないしなっていう。初っ端からもうできているっていうこの感じっていうのは達成できているポイントなんじゃないかなという気はしますね。
で、基本その2人が付き合ってるんじゃん感と、周りがそれを楽しんでるモードに あー、でも周りはまだ描いてないからね、周りね周りはねネームにしかないんですよ。周りももうそれを楽しんでる感にもなってますよね、「もうそのお前らできてる、付き合ってんじゃんお前ら」っていうのを前提に遊んでいじって遊んでるっていう一番何というか、もう何の害もないみたいな、、ただただ楽しいっていう個人的にはそういうのが一番生き抜きエンタメ的なポジションでは最強なんじゃないかって思ってたりもするので。
迫田
一番楽しい時ですよね。
原田
延々と読んでられるんですけどっていう。まあ、時間と課金でちょっと後で凹むみたいなことがあるかもしれないけど、だけど別に損した気もしないみたいな。そういう幸せな感じを狙えたらいいなっていうのはあるし、それのベースにはたどり着けたかなと。
芦塚
しおひがりさんのテイストを活かすのが一番難しい部分ではあったんですけど、たまに作画の方がネームにはないけど、アレンジで入れてくれた時に、お!キャラがつかめてきたのかなぁ、みたいに思ったり、あと初めて葉月のデザイン描いてくれた時は葉月がちゃんと学年一美人になった!とか感じたり、上手くいった時はキャラが伝わってきたのかなみたいなのとかは手応えを感じたりはしました。
なんだろう、寝越が今のベータ版だとちょっとなんか幼い感じというか、こんな恋愛するの中学生ぐらいだろうみたいな感じに思われたのかな?中学生みたいになってますよね。多分それが私とかしおひがりさんとか原田さんってもう高校時代が遠い昔じゃないですか、だけど描いてくださった方は高校時代って本当に4年前とかそれぐらいになっちゃうから、中学生だろみたいな思いに若干なってたのかな、みたいな感じでデザインがちょっとやっぱり幼い感じにはなっちゃったかなっていう。
なかなか高校生でこういう恋愛っていうのが、おじさんおばさんのファンタジーでしかないのかもしれないっていうのがものすごく感じてしまいましたっていう。その、、、ジェネレーションギャップですよね、一番ね。
原田
痛い!
しおひがり
これは耳が痛いですね。
芦塚
作画の方良い人だから声には出しては言われませんでしたけど、なんとなく無意識でそういうデザインになってるんだなっていうのはすごく感じて、だからなんかこう我々高校時代がピュアすぎたじゃないか説はぶっちゃけこの3人が高校時代に恋愛経験がなさすぎるんじゃないかっていう。
原田さんに至ってはね男子高ですし、私も女子高だし、共学経験あるのはしおひがりさんしかいないから、なんかファンタジーすぎる高校生なんですよ、これは。
ベータ版を作ったことによってやっぱり行きついたのが、もっとテキストを読むものなんじゃないかっていうので、今のゲーム開発につながるんですけど、いやなんかこれこそノベルゲーなんじゃない?っていうので、今着々とノベルゲーで試してるみたいな感じで、しおひがりさんにも遊んでいただきましたけど、意外と面白くなってるって言ってくれたんですけど、今日またさらに表情差分が入ってよりいい感じになってきて、やっぱテキストをすごく読ませるものの方がコンテンツとしては合ってたかな?っていうのが、ベータ版3本作ってみての感想。。意外とゲームだったかも!って。ここに行き着いてますね、今。
原田
個人的にはゲームは割と思った通りだわーっていう、こうなるはずだと思ってました。多分その辺はしおひがりさんもそうだったと思うんだけど、もう読み通りみたいな感じなんだけど、多分そのそれはまあ私は特にそうなんだけど、ゲーマーじゃないのであのゲームに対しての特になんか思い入れとか期待値とかっていうのが特にないので、こういうフォーマットならこういうことできますよねみたいな、割とニュートラルに見てるところがあって、なので気をつかわずにゲーマーじゃない目線で、これあったら全然クリックしてて楽しいなって思えたんですよね。
だから割とゲームプロパーだとこれは多分そもそも想定しないんじゃないだろうかみたいな気はちょっとしました。
迫田
話のつながりとして一度このWebtoonを2022年7月から2年で皆さんで作ってみて、しおひがりさんの魅力や演出プランが生きるのがノベルゲームの方だったよ、っていう発見があって、そのノベルゲームもまた近日中に何かしら情報を出していくっていうことにつながるので、なんか筋はつながっている感じがします。
原田
タイトルもネゴラブで、全く同じシナリオです。そうです、でもそれが成立するって思ってたし、成立したし、ちなみに私は両方楽しめると思ってるんで、理想系はこのゲームで楽しんだ編集者が、ぜひうちで連載してくださいって言ってくれるのがベストシナリオだと思ってますね。
芦塚
漫画はまだ諦めてないですもんね
原田
全然諦めてないです。これは絶対漫画で廃課金しちゃうから。
迫田
ゲームの方がしおひがりさんの魅力が生きるのではないかと思っているところをほぐしていくと、やっぱりテキストをたくさん読んでもらうことができるっていうそういう特性によってくるんですかね?
芦塚
そうですね、あと表情と違う言葉が突然ぶっ込まれる感じがわかりやすかったかな。
迫田
確かに。そっか、ある種表情変わってないけど、ひたすら喋ってるっていうのはなんかあだち充キャラを確かに再現しているのかもしれない。
原田
あとやっぱりにこのちょっとだけね、その結論変わらないけどあの途中の経路が違うっていうぐらいのライトな分岐はすごく合ってる気はしますよね。だからこう言ったらどう反応するんだろう、みたいなそんな大幅に変わらないんだけど、同じところに回収されていくんだけど。
だけどなんか違うっていうののその楽しさと、あとはそのシステム面がどこまで作り込めるかによるから、あんまりでかいくちはたたかないですけ、なんかその漫画だったらまあどうとはいえやっぱりどうやっても一つのワンラインしか見れないわけなんで、なんかそこのこの遊び幅があるっていうのはすごくこの構造には合ってるなぁと。
迫田
ゲームの良さですよね。ユーザー側にもちろん選択もそうですし漫画よりも読むスピードみたいなものも委ねることができるし。
原田
しおひがりさんめっちゃ早いんすよ、読むのがめっちゃ早い。
しおひがり
いや、でもあれ自分で打った文章ってもありますけどね。いやでも結構あれじゃないですかねノベルゲーやる人って結構ポチポチだと思いますよ。
ノベルゲームの魅力と演出プラン
迫田
しおひがりさんは最初どうだったんですか ?ノベルゲームというちょっとまた予想もしない方向に行ったとは思うんですけど。
しおひがり
そうです、それはもちろんあったんですけど、システムとして100年を0年にするっていうのもそもそも数字を100年っていう数字を0年にして交際を交際に至るっていう経緯がそもそもゲーム的だなとは思っていて、だからゲームのシステムって何かしやすいなと思って、ちょっと別に具体的なシステムは思いついてるとかではないですけど、まぁその100年っていう数字が増減するっていう仕組み自体はゲームっぽいし、だからなんかWebtoonがすごい跳ねたらなんかいつかゲーム化とかもできるかもなってちょっと妄想したりとかもしてたんで、だからそうですね、なんでノベルゲーにしてみないって言われた時はそれもできるかなって思いましたので、割とこうすんなり受け入れられたというのはありました。
また最新を見て、最初と比べてまた良くなっている部分も今見えてきている感じなんですかね、だから元々のネーム まだ今体験版みたいなものを作ってる段階でそれはある特定のエピソードを作り込んでるっていうような状況なんですけど、ちょっと漫画のネームからゲーム用に書き下ろしてまたあのまあ加筆して、である程度まあまだちょこっとしかないんですけど分岐みたいなものを作って落とし込んだものを先日初プレイしたっていう感じなんですけど、まあなんか本当にあのさっき芦塚さんがおっしゃったようになんか意外と面白いなっていうふうに思ったっていうのが 結構あのポジティブな意味でなんかいいものになるかもな、っていうような直感みたいなものは持ってたので、それはすごいポジティブな反応で良かったなかなと。
芦塚
そうですね、しおひがりさんにゲームにしたいって言った時、すごいしおひがりさんが嫌そうで「本当にクソゲーにしてほしくないんですよ」って言われたからクソゲーの定義って何ですか?っていう話をして。
しおひがり
そうですね、やっぱり とにかく僕もまぁある程度ゲーマーではあるのでで、クソゲーに当たった時ってもかなりがっかりするんで、特にそのフルプライスで期待されてたゲームを買っていざやってみたらなんかバグだらけだとか、シンプルに全然面白くないだとかっていう時のがっかりかってもかなりでかくて。
で、もうなんならそのメーカーに対するもうなんか信用だとか信頼だとかっていうもかなりガタっと落ちちゃうから、ゲームの話題になったらもう結構もう友人間でとかなんともう酷評するみたいな感じでかなりあの信用を落とすものなのででだからやっぱりそこはとにかく避けたいっていう。
だから今回のその作り手っていう面で言えば僕であったりとかスクーターフィルムズの信用にかかってくるから、やっぱりもうそこは何としてももうあのクソゲーにはしたくない、っていうような気持ちはあって。
芦塚
ちょっとは安心してくれましたか?
しおひがり
そうですね、そういうところもあって、あの先日プレイして大丈夫かなってちょっと思いました。もっと作り込んでいけばちゃんと面白いものもできるかなとは思いました。
迫田
なるほどなぁ、ゲームってね、お金払ってするっていう文化があって、僕も結構ゲームする方なんでそうsteamでゲーム買うっていう挙動をしますね。スマホでとりあえず無料でやるっていう人とは全然違いそうだけど。
しおひがり
そうですね、まあ、だからそれが500円だったら「まあ、こんなもんか」で済むんだけど、それがなんかね 7800円で 言われてたね、開発4年みたいなものを買って、でめちゃくちゃバグだらけみたいなの全然あるんですよ。だからそういう時もやっぱ もうメーカーにヘイトが向くから、「もうほんとしょうもないもん買ったな」って言ってね、なんかそういうものがあるんで やっぱゲーマーの人ってそういう目も厳しいと思うから、なんかその辺はね、なんかまあもちろんライトユーザーもね、やっていただきたいんですけど。
迫田
これちなみに基本的には Steam で出すという流れですよね。
芦塚
そうですね、イベントとかで試遊に出してみて、反応を見つつまたシステムに関してなんか割とその人によって好き嫌いあると思うんですけ、ノベルゲーというかそのゲームの中にミニゲームみたいな新しいシステム入れ込むみたいなのをやりやすそうな感じにしたり。
ネゴシエーションから生まれるミッション
芦塚
結局だってネゴシエーションしていくわけだから、ネゴシエーションしていく中で絶対ミッションが生まれるはずなので、その辺を追加していく。割とネタ部分が大きいかなと思うので、そういうのを組んでいく必要あるなぁ、と思いつつ反応を見つつやっていきたい!テキストが面白ポイントっていうのが伝わるなーっていう手応えをイベントで試遊出して感じたいなーって思いますね。
迫田
ちなみにこれ、漫画とか小説がアニメになる時ってやっぱり情報が増えるわけですよね、音楽、効果音、声っていうところが増えて、世界観がより解像度を増すと思うんですが、今回のゲームって音楽とか声とかっていうのはどういう感じなんですか?
芦塚
レトロゲー的な切り口で作ってて、結構ファミコンのゲームみたいな感じで、文字とか出てきた時にポポポポみたいな音を変えて入れてるみたいな感じにしていて、だから最近なんかこうゆうの見ないな、みたいなものな気はするんですけど。
迫田
セリフ読み上げるんじゃなくて、電子音ってことですよね。
芦塚
そうですね、ゲームのあの昔のファミコンの文字出てくる時の音みたいな。私はドラクエでやっぱ育ったからなのか、あんまりキャラクターに喋ってほしくなくて。。そういうと多分ノベルゲーム作ってる人からめっちゃ怒られる気がするんですけど、理想の声じゃなかった時にやっぱ「うーん」ってなってしまうのがちょっと気になってしまって。
迫田
ノベルゲームって、フルボイスっていうのが一つの購入理由にはなるかもしれないですけど、結果、結構音声飛ばしますからね。
しおひがり (01:35:10.843)
そう、結局飛ばしちゃうんでね。
芦塚
ポポポ音がネコラブには合ってるかなと。
迫田
なるほどですね。まあでもスクーターフィルムズの面白いところが、この一連の会話で皆さん分かったんじゃないですかね。つまり作品を作り始め、Webtoonも作ったことない作家とWebtoonも作り始めて、それがインディゲームまで変化していくっていうのをやるっていう、なかなかの機動力というか柔軟性というか。
しおひがり
そうですね
迫田
そう、すごいですよ。普通ね、できないですからね、違うメディアに行くって。
原田
いやいや、漫画も諦めてませんよ。
しおひがり
ちょっと漫画制作について言えば、背景が描けないっていう風になってわざわざ僕と原田さんともう一人APの人とで実在の学校に取材行って写真場所に撮ってそれを絵に起こすっていうのをやったんですよ。それすごい実際、絵にもいい感じに起こせたし、すごい伝えやすかったですよね。
複雑なポーズが結構あって、ここでこういう風に立っててほしいとかっていうのをCGだけだとどうしてもディテールを表現できなかったんですけど、じゃあもう実際学校行って撮っちゃおうよっていうような感じの話になって、埼玉の学校にみんなで行って、その埼玉の学校の中だったり、あとはその街もね、ここが寝越の育った街だっていうことにして、で、もうそのなんか実際に街にある団地とか、そのコンビニの写真撮ったりとかして、なんか体験としてすごく面白かったですね。それがあの絵になっていくっていう、まあ当たり前のことなんだけど漫画として取材に行ってそこを描くっていう。なんか、あのー、すごく良かったですね、それは。
芦塚
それこそ北関東の空気感みたいなのが どうやったら伝わるかなみたいなのもあり、あとなんか背景作画が広大なのってもしかしたら作画描いている方が住んでいるところが緑が多すぎるとかもあるのかな、とか、あと学校の広さとかが下手したらね、1学年1クラスみたいな感じだと伝わらないかも。みたいなのがあって、で、もうぶっちゃけ埼玉ですよね?みたいな話から、埼玉の工業高校にアポを取って。そしたらめっちゃ協力的な学校で、しおひがりさんからサインをもらいたいですって言われてたから伝えたら事前に用意してきてくれるとか!時間ない中での背景撮影だったのと、寒い時期に行ってもらうという。
しおひがり
いやでも、すごいめちゃくちゃ楽しかったですね。なんか高校とか絶対入れないじゃないですか、普段はそこになんか入ってこういう感じだったなぁ、みたいな思い出しつつね。そうそうそう、なんか原田さんが運転上手かったりとか意外なね。
原田
一つはね、もう本当、今日学校、ちょうどね、行った時にね、放送部だけね、なんか、部活してた子らと話すことができて、楽しそうやな、こいつらみたいな。青春しとるな、お前らみたいな感じで、楽しそうっていうのと、あとね、久しぶりに「自主制作映画」感に溢れた経験をさせていただいたっていう。実写ロケの感じというか。
芦塚
その高校がめちゃくちゃ協力的でwebtoonが公開された時もホームページで紹介していいですか?とか、保護者にあのチラシ配りますねとか、ゲームの背景にも使いたいんですけどって言ったらぜひぜひみたいな感じで。
原田
教頭先生がすごく親切に付き合ってくださって。
でね、なんかね、建物がね、確かになんか学校なのかな ?みたいな感じで。そしたら建築家がね、病院建築ばっかやってた人が設計したでって言われて、そう言われてみれば確かにめっちゃ病院っぽいんですよ。
原田
病院っぽかったですね、確かに。
そうですね、なんか結構変わった作りですね、みたいなことを最後に言ったら、実は病院を作っている人でみたいな感じで、本当にああなるほどねってなりましたね。
迫田
なるほど、確かに背景を作るみたいなのも今までのしおひがりさんのワークの中ではあまりフォーカス向けてなかったところだと思いますね。
しおひがり
そうですね、描きたいけど、描くのがめんどくさいっていうのはあったんで、だいぶ省略したものしかほぼ描いてなかったのと、描いたとしてもだからこの辺は自分が描かなくていいっていうことでね色々、ちょっと無理お願いしたりとかして、だから新しい経験でありました。
(終わり)