
こんにちは、モブです。普段はSKOOTAGAMESというインディゲームレーベルに所属し、ネゴラブチームとしてUnity初心者ながら開発を進めています。
普段は会社で適当にゲーム作って家に帰るだけの人間ですが、前回のレポートが思いのほか好評だったらしく、今回も東京ゲームダンジョン7のレポートを任されることになりました。
いつもなら「こんな仕事は本来の担当じゃない」とか言い訳してサボろうとするところですが… でも前回のレポートが割と評判で、色んなところから取り上げていただけたのはうれしかったです。
というわけで、今回は「ぶっ飛ぶインディゲーム」をテーマに、再び私の目線で見つけた衝撃作の数々をご紹介させていただこうと思います。
ネゴラブの進捗?
…それは後にさせてください。
では始めます。
公開することに意味がある:就活シスターエリーゼ!

一つ目に紹介するのは「就活シスターエリーゼ!」です。このゲームは本当に、スタートから予想を超える展開でした。ブースに着くと、担当の方から「体験版はノベルパートのみで、面接パートはバグがあるのでプレイされたい場合はお声がけください」という予想外の説明が。
そしてゲーム開始早々、主人公のエリーゼと登場人物のジュリアが現れ「間に合わなくてごめんなさいですわ~~~っ」と謝罪するという衝撃的な展開から始まります。
実際プレイしてみると、確かに体験版はストーリーを知るための短いノベルパートのみ。パンフレットに書いてあった面接パートも、説明の通り完成とは言い難い状態でした。
ですが、キャラクターの可愛らしさや世界観の独特さもあって、むしろ
「完成したらどんなゲームになるんだろう?」
という期待が膨らませる魅力が。


それと、このゲームをみて私が今作っている「ネゴラブ」を思い出したんです。私だって未完成のままゲームイベントに出した経験もあるので、何かデジャブを思い出させる、言葉では説明できない同質感を感じました。
そのせいか、オープニングで「未完成でも公開することに意味がある」と言い切る姿に、なんだか勇気をもらいました。インディーゲームだからこその宣言といいますか、それこそ、何かを作り上げていく上での一つの正解なのかもしれません。制作者の方とは短い会話でしたが「世に出すことに意味がある」という言葉に深く共感したことをこちらからお伝えしました。
いつか素晴らしいゲームとなって私たちを驚かせてくれること楽しみにしています。いや、そう信じています。
ホラーゲームが苦手でも楽しめ…る?:Haunted Streamer

続いて紹介するのは「Haunted Streamer」です。会場の真ん中で「馬ゲームで~す」という言葉が聞こえてきたので、心ならずもブースのほうに向かってしまいました。その通り、向かったブースの先には馬の被り物をした配信者のキャラが迎えてくれました。
でも、それだけじゃありません。実はこのゲーム、お金が欲しい配信者がスパチャを稼ぐためにお化け屋敷に突撃配信するというかなりぶっ飛んだ設定のホラーゲームなんです。基本的には充実した3Dホラー探索ゲームなのですが、面白いのは「配信」という要素の活かし方。
その中でも画面端に流れるチャットからミッションが発生し、従うべきものと、従ってはいけないものがある…という独特なシステムが印象的でした。
ゲームとしての作り込みも本格的です。マップの雰囲気や、オブジェクトのテクスチャなど、一見すると普通のホラー脱出ゲームに見えますが、そこに先ほどの「ぶっ飛んだ」要素が絡むことで明らかに怖いのに笑ってしまうという、だいぶ不思議な体験になっていました。
特に面白かったのは、最後にボス戦があるということ。ホラーゲームでボス戦か…と思いつつ、まさにそういう発想こそ、このゲームにはふさわしい展開なのかもしれない。
制作の背景には「実際の配信感覚に近づけたい」「ホラーゲームが苦手でも楽しめるように」という思いがあったそうです。
正直、ホラーゲームが苦手な人がお化け屋敷探索系はあまり好まないと思いつつ…ホラーがあまり好きじゃない私でも笑いながら楽しめた「怖いけど面白い」雰囲気は確かに実現できたと感じました。なので、もし周りにホラー苦手な人がいるとすれば「そんな君でもプレイできる…と思う!」と、おすすめしたい作品ではないかと。
このままずっと、さまよっていたい:ガールズメイドプディング


三つ目は「ガールズメイドプディング」という名前のゲームです。タイトルからする可愛さとは違って、独特な雰囲気を持った作品でした。
人のいなくなった街をバイク一台でさまよう少女二人を描く物語。制作者いわく「ガールズトーク・ツーリングADV」とのことです。
独特な雰囲気のイラストに惹かれてプレイしてみましたが、これが予想以上に深みのある世界観を感じさせました。特に印象的だったのは音の演出。暗さの漂う世界観とは裏腹に終始流れる穏やかなBGMが「このままずっと、二人の会話を聞きながらこの世界をさまよっていたい」という気持ちにさせられました。

ゲーム性自体はシンプルで、難しいところは特にありません。 むしろ非現実的な世界の中での少女たちのトークを楽しむことに重きを置いた、そんなゆったりとした作品です。会話をスキップできず、一定距離を移動しないと次の会話に進まない仕組みもこのゲームならではの魅力の一つ。
インディーゲームらしいシンプルさの中に、サウンドや演出への並々ならぬこだわりを感じる…そんな素敵な作品でした。
どっちも間違いなく期待作:Skill Hockey & Do you like/?

ブースづくりをしていた「Skill Hockey」

開発をすすめているという「Do you like/?」。
試遊はできなかった。
四つ目のブースではなんと、二つのゲームを紹介します。まずは「Skill Hockey」から。
エアホッケーと格闘ゲームを組み合わせた斬新な発想のゲームで、マウスでパックを操作しながらキーボードで技を繰り出します。相手がボールを持っていないと技が使えないという制限もあり、素早くスコアを決めるか、じっくり技を狙うか…プレイスタイルの選択肢が面白いポイントでした。
そして、同じブースでもっと驚かされたのが「Do you like/?」というタイトルの作品です。なんとゲームボーイ向けに開発中のマーダーミステリーゲームで、Wifi対応カートリッジでAI生成を実現しつつ、ゲームボーイで動作する容量に収める…その話を聞いた時は正直、耳を疑いました。
残念ながら、まだプレイはできていません。現在クラウドファンディングで開発中で、資金調達は既に完了、近々発売予定とのこと。プレイもしていないゲームを紹介するのは少し気が引けますが、このゲームの持つ可能性はどうしても伝えたかったんです。
現代のテクノロジーを活かしながらレトロゲームの新しい可能性を切り開く… そう簡単にできることじゃないはずです。
発売されたらどんな評価になるか、今から楽しみにしています。
なにもかもが謎に満ちている:くつひも物語

最後に紹介するのは「くつひも物語」です。 試遊を始める前、制作者さんから「ノベル形式のゲームで、ある程度内容が分かったら終えていただいて構いません」という説明を受けました。ところが、制限時間が終わるまでプレイしても私にはこのゲームが一体何なのか完全には理解できませんでした。
でも不思議なことに、理解できないはずなのにどうしても気になって仕方がない…そんな不思議な魅力を持つ作品でした。
まず目を引いたのは独特なピクセルアート。 90年代のエピックファンタジー小説の挿絵のような、懐かしさと新しさが混ざり合った不思議な画風です。文章も特徴的で、どこか翻訳調の文語体。普段のゲームではお目にかかれない独特の響きを持っていました。


10分ほどの試遊時間で把握できた内容は「話す猫と犬と暮らす、口の利けない少女ラブキャッチが魔王を倒す勇者に任命された」というところまで。ある程度内容が分かったら終えていいはずなのに、時間切れまでずっと画面から目が離せませんでした。
制作者との会話もまた、印象深い思い出として残っています。90年代のビデオゲーム「Moon」から影響を受けたという話から始まり、あまりにもゲームの不思議さに「普段は何をされているんですか?」と尋ねると「何もしてません」という意外な答えが。
そして気になっていたアートワークについて訊ねてみると、AIで作成した線画を独自の処理で仕上げているとのこと。その制作手法も、このゲームならではですね。
よくわからないけど気になる。そんな感覚に溢れた不思議な魅力。 発売されたら絶対に買ってプレイしたい…そう思わせる作品に今回ゲムダンで出会えたこと、とても嬉しく思います。
今回のゲームダンジョン7を振り返って

今回五つのゲーム紹介させていただいたのですが、どのゲームも「普通」とは少し違う、独特の魅力を持っていました。シスターの就活から、馬の被り物の配信者、バイクで旅する少女たち、AIで紡がれる事件、そして謎に満ちた靴紐の物語まで。
完成度やボリュームはそれぞれですが、確かな「何か」を感じさせてくれる。 それこそが東京ゲームダンジョンならではの出会いなのかもしれません。
普段は適当にゲーム作って帰るだけの私ですが、またこんな機会をいただけて嬉しく思います。 こんな風に、型破りなゲームたちと出会える場所があることを知れただけでも、私にとっては大きな収穫でした。
もし今回のレポートを楽しんでいただけたなら、次回の東京ゲームダンジョンでもまた素敵な作品との出会いをお届けできるかも思いつつ、そろそろ定時なので今日は以上とさせていただければと思います。
ネゴラブの進捗? …それはまた今度に。お疲れさまでした。