みなさん、お久しぶりです。

『Monthly KPOP Chit-chat』がシーズン2となって帰って参りました。

さて、記念すべきカムバック第一弾は今年上半期のKPOP事件についてあれやこれや語っていこうかと思います。

まず、今年のKPOPを語る上で外せない話題と言えば『HYBE VS ミン•ヒジン』の泥沼社内闘争になるだろう。

ご存じない方のために何があったのかを以下にざっくり説明すると、

4月22日。

BTSの爆発的人気により名実ともにKPOP最大の芸能事務所へと成長したHYBEが、HYBE LABELS傘下のADOR代表でありNewJeansプロデューサーであるミン•ヒジン氏を背任行為(経営権奪取を試みた疑い)により辞任要求。

4月23日。

ミン•ヒジン氏、経営権奪取を試みたというHYBEの主張を全面的に否定。

4月25日。

HYBE側がミン•ヒジン氏とADOR経営陣に対し背任行為の疑いで警察に告訴状提出。

同日

ミン•ヒジン氏、弁護士を同席させ緊急記者会見を開く。

とまぁここまで書いて既に泥沼なのだがこの記者会見が更なる泥沼へと発展させる原因となる。

この時のミン•ヒジン氏の主張はこうだ。

  • 私はHYBEを裏切ってない。逆にHYBEが私を裏切った。
  • NewJeansで、これまでのKPOPの歴史上2年でここまでの業績を出した人間は私以外にいない。
  • 私に罪があるとしたら仕事ができるという罪しかない。
  • 元々、NewJeansがHYBEからデビューする最初のガールズグループの約束だったのにも関わらずその約束は守られず、LE SSERAFIMが先にデビューした。
  • HYBE傘下のBELIFTLABからデビューしたILLITはNewJeansのコンセプトをコピーしている。

細かく言えば他にも様々な主張をしていたし、会見後半にはHYBE会長であるパン•シヒョク氏とのカカオトークでのやりとりをスクショありで暴露し、如何に自分が虐げられているかを早口で捲し立て、放送禁止用語連発でHYBE経営陣を罵倒しまくった。

そしてこの記者会見をきっかけに世論が一気にミン•ヒジン氏側に傾く事となった。

会見で身に纏っていたドジャースのキャップと緑と白のボーダーのロンTは韓国国内のオンラインショップで売り切れが続出し、早口での罵詈雑言の嵐は「ミン•ヒジンという新人ラッパーのデビューショーケース」と好意的に捉える層も一定数現れ、韓国のエミネムと呼ばれネットミーム化するほどの人気となった。

このようになった要因には韓国の日本以上に根深い男尊女卑社会が影響していると著者は考えている。

HYBEという巨大企業の男性経営陣に、立場の弱い子会社の女性社長が圧力に屈せず権力に立ち向かうという構図が韓国ドラマさながら、一般の韓国国民の感情を揺さぶったのだ。

ただ、この会見で名前を出されたLE SSERAFIMとILLITはこの日を境に大量のアンチを生み出し、両グループのYouTubeのコメント欄には連日止むことのない誹謗中傷が並ぶ事になった。

これはNewJeansに対してもそうで、ミン•ヒジンアンチからはNewJeansがヘイトを向けられる形となってしまった。

著者はあくまでも中立でHYBEにもミン•ヒジン氏にも肩入れしている訳ではないが、大人のいざこざに、ただアイドルとして日々頑張っている彼女たちを巻き込んでしまったミン•ヒジン氏の罪は重いと思う。

NewJeansをここまでワールドクラスのアーティストにした手腕は認める。

HYBEの創業者・会長:パン・シヒョク

が、それにはHYBEの資金力があってこそだとも思うし、他にも尽力したスタッフがいたからこそ成し得た成果であるとも思うし、あたかも自分一人の力でNewJeansを成功に導いたかのような言説はあまりにも自己中心的な主張のようにも感じる部分がある。

それにILLITがNewJeansのコピーであるという主張は同じエンタメの仕事をしている人間からしてみるとあまりにも寂しく感じる。

確かに似ている部分はあると思う。ただ、それはエンタメの常でありヒット作に倣うのは決して罪だとは思わない。

それは音楽だけでは無く、映画だって漫画だってあらゆるジャンルで起きている事だし、自分が作ったものと似たようなものを作ったものが現れたのなら、さらに良いものを作り唯一無二のものにしていけばいいだけなのだ。

そうやってエンタメの歴史は切磋琢磨して今日に至ると思っている。

タイムリープものが流行ればタイムリープものの漫画や映画で溢れ、メタバースものが流行ればメタバースものの漫画や映画で溢れ、ガールクラッシュが流行ればガールクラッシュコンセプトのKPOPグループで溢れ、Y2Kが流行ればY2KコンセプトのKPOPグループで溢れる。

でもそこで何を取捨選択するかを決めるのは消費者なのだ。

良いものは自ずと残るし、良くないものは淘汰され消えていく。

個人的に思うのはミン•ヒジン氏にはILLITの登場を機にさらにNewJeansを飛躍させてやるとHYBEへの憎たらしさをパワーに変えてほしかったなと思う。

ただ、HYBE社内で何が起きていたのかは我々部外者には分かり得ない事ではあるので、ミン•ヒジン氏がHYBE経営陣から虐げられていたと感じたのであればそれは事実なのだとは思う。

いじめてる側がどんなにいじめてないと言ってもいじめられた側がいじめられたと思えばそれはいじめであるように、HYBE経営陣に問題があったのは否めない。

そして、この社内闘争は現在進行形で続いており、先日(8月27日)ミン•ヒジン氏がHYBEによりADOR代表を解任させられた。

これに対しミン•ヒジン氏は一方的な解任で違法な決定と猛反発している。

まだまだ終わりそうにないこの社内闘争が一体どんな結末を迎えるのか。

それはKPOPの神のみぞ知る事なのかも知れない。

この問題以外にもまだまだ書きたい出来事があったのだが、『HYBE VS ミン•ヒジン』事件で丸々コラム1本分消化してしまったので残りはPart2へと続く…。


執筆:猫町ぺこー

SKOOTA KPOP部チーム長

〈元々は洋楽ロックオタクで一時期ロッキンオンに就職しようかと思っていたほどの音楽通。BTSキッカケでKPOPを聴くようになりその後BLACKPINKにハマり、KPOP沼に片足を突っ込む。サバイバルオーディション番組『Girls Planet 999』通称ガルプラにどハマりし、ここからデビューしたKep1erのガチオタとなった結果、両足をKPOP沼に突っこむ事となった〉