こんにちは、暦の上では春が近づいているはずですが、私の三半規管は真冬の嵐に見舞われております。SKOOTAGAMESのネゴラブチーム所属、モブです。

さて、2026年最初のビッグイベントの一つ「Steam Next Fest」が幕を閉じましたが、皆さんはどういったゲームが印象に残りましたでしょうか?

膨大な数の体験版がひしめく中で、今回私のタイムラインを最も騒がせていたワードは、間違いなく「FPS」でした。それも90年代のレトロな手触りを持つ「ブーマーシューター(Boomer Shooter)」というジャンル。皆さん、自らのXのタイムラインなどで見覚えはないでしょうか?

これは単なる私の体感や偏りではありません。実際のデータを紐解いてみると、今回のNext Festで「最もプレイされたデモTop 50」のうち、なんと7タイトルがFPSジャンルでした。Steam全体におけるFPSゲームのリリース割合はここ数年3.3%前後で横ばいであることを考えると、今回の「Top 50内におけるFPSシェア6.8%」という数字は、通常の2倍以上の関心と熱量がこのジャンルに集中していることを証明しています。

もちろん、普段データに触れてないユーザーでもSNSを通してFPSジャンルのインディゲームを見かけた方も多いのではないでしょうか。例えば去年切り抜きや画面のスクショで海外のゲームユーザーに反響を呼んだdoekuramoriさんの『Beyond Citadel』や、つい最近独特な世界観と体を見下ろせる視点で話題を呼んだ我慢さんの『MISHA』など、割と多くのFPS作品が日本を超えて全世界的に注目を浴びているようにも見えます。

上記の例だけ見るとビジュアルばかりが注目されているように思われるかもしれないですが、そのゲーム性においても「撃って避ける」という原初的かつ分かりやすい快感や、開発者の剥き出しの個性が、今のゲーマーたちの心に深く刺さっているのではないかと思われます。それ故にインディーゲーム界隈において、FPSがちょっとしたルネサンス(復興)の様相を呈していると言っても過言ではないかと。

そこで今回は、SNSでよく見かけて「一体どんなゲームなんだろう?」と気になって仕方がなかったFPS作品で、かつ今回のNext Fesに参加していた3つの作品をレビューしてみたいと思います。ちなみに私は3Dのアクションゲームにすごく弱く(よく3D酔いをするのです)、今回のレビューを書くために胃袋と平衡感覚を捧げざるを得ませんでした。もし皆さんの中に同じく3Dゲームに弱い方がいらっしゃるなら、今回はぜひ気軽な状態でお読みいただけるとうれしいです。

同じ「撃つ」という行為でありながら、全く異なる快感を持った作品たちを、比較用の独自パラメーターと共にご紹介します。

最終回収SQUAD|絶望の淵で見つける、確かな「重み」

本作は、独特なグラフィックと強烈な色彩感覚で、SNS上でもひときわ目を引いていた作品です。ビジュアルのインパクトだけで言えば、今回取り上げる3つのゲームの中でも随一と言っても過言ではありません。

銃器を扱う繊細なアニメーションの向こう側に広がる、巨大なビル群の森。そして、その高層ビルをあざ笑うかのように、遥か彼方から近づいてくる巨大な敵たち。遠くで黒い点にしか見えなかった敵が、いつの間にか目の前まで迫り、その巨大な威容を現した時の感覚は、まさに「圧倒される」感じでした。実際にプレイして感じたのは、この「圧倒される感覚」こそが、おそらく製作者が意図されたものだということです。

本作の舞台は、すでに人類が滅亡した後の世界。地球を侵略したエイリアンによって、人類はすでに敗北している状態です。主人公を含めた登場人物たちは人間ではなく、わずかに残された「群体兵器」です。彼女たちは少女の姿をしながら、人類の遺産である特殊兵器を回収し、巨大な敵に立ち向います。すでに滅びてしまった地球のために、残された資産が最後まで抗い続ける……。その設定はどこか壮絶でありながら、同時に敵に対する圧倒的な無力感をも示唆しており、私がSNSを通して感じた「圧倒される気分」とはこれを示していたのかもしれません。

FPSとしての爽快感を求めて本作に触れたユーザーは、予想以上に重苦しく、深い世界観に驚くかもしれません。特に象徴的だったのは、作中で偶然発見する一匹の「犬」とのエピソードでした。

設定上、私たちが操作する兵器の全高は12メートル。犬は指の節ほどのサイズしかありません。そんな小さな命を保護し、「人類は滅びたけれど、ワンちゃんは守れた」と喜ぶ彼女たちの姿は、愛らしくもどこか切なく感じられました。見た目は同じ兵器でありながら、一人ひとりに異なる性格や個性があることを知った時は、この暗い世界観の中に灯る小さな光を見つけたようで、無性に嬉しい気持ちになりましたね。

ゲーム性において触れておきたい点は、周囲の「コンクリートジャングル」が単なる背景ではないという点でした。巨大なビル群は、敵を攻撃する際の障害物にもなれば、敵の猛攻をしのぐための貴重な遮蔽物にもなれます。「とにかく撃ちまくって無双する」というプレイは、本作では通用しません。周囲の環境、敵の数、 そして手持ちのリソースを常に考慮し、冷静に判断を下す必要があります。むしろ、闇雲に乱射することは自分を不利な状況に追い込むことにも繋がります。この「判断の重み」があるからこそ、アクションゲームとしての手応えがより確かなものになっている気がしました。

ダークな雰囲気ゆえに好みは分かれるかもしれませんが、この世界観の深さは、製品版への期待を抱かせるに十分なものでした。もしこのレビューを読んでこの絶望の先に何があるか気になった方がいたら、今のうちにSteamのウィッシュリストをチェックするのも良いでしょう。アクションとゲーム性、そして世界観のバランスが絶秒だった今回の期待作『最終回収SQUAD』でした。

📊 [モブの体感パラメーター]

世界観の深さ: ★★★★★
戦略性: ★★★★☆
爽快感: ★★★☆☆
3D酔い度: ★★★☆☆(一定時間超えるとグッと来る)
一言: 絶望的な世界観と、重みのある戦略的FPSの美しい融合。

ギャルトムラ|全肯定の優しさに包まれる、カオスな異色作

続いてご紹介するのは、こちらもSNSで凄まじいインパクトを放っていた作品『ギャルトムラ』です。前述の『最終回収SQUAD』が期待以上の「深み」を見せてくれる作品だったとすれば、本作は「FPSというジャンルでこんなものに出会うとは……」という、ある種の衝撃と困惑を突きつけてくる、非常にエネルギッシュな作品でした。

まず驚かされたのは、独特なタイトル画面です。画面全体が黒く、白いピクセルテキストで埋め尽くされた構成は、どこかストイックでありながら、驚くほど「機能」に忠実です。左上にはタイトル、その下には言語設定。中央にはスタートボタン。そして極めつけは、右上に配置された「タイトルソングのMV再生パネル」です。一つの画面にすべての情報が凝縮されたその「圧縮陳列」のような佇まいに、プレイ前から並々ならぬ気配を感じずにはいられませんでした。

その「非凡さ」はチュートリアルでも遺憾なく発揮されます。本作はオーソドックスなFPSの操作感を持ちつつも、チュートリアルの選択肢に「普通のチュートリアル」と「大げさなチュートリアル」の二種類が用意されています。

ちなみに後者を選ぶと、指示に従ってキーを押すたびに「えらい!!」という力強いSEと歓声が響き渡ります。「ユーザーを褒める」というゲーム制作の基本原則をこれほどストレートに体現したケースを、私は他に知りません。

さらに驚くべきは、本作が体験版にして「フルボイス」であるという点です。チュートリアルが終わり本ステージが始まると、主人公のギャルと彼女と無線で会話するオペレーターはもちろん、なんと敵のボスキャラクターに至るまで声が吹き込まれておりました。インディーゲーム開発において、ボイスの実装がいかに困難で労力を要するものかを知る身としては、この物量には敬意を表さざるを得ませんでした。(そもそも、どうやって取ったんですか??)

ゲーム性に目を向けると、本作はあえて「制約」を設けることで独自のプレイフィールを生み出しています。その最たるものが「ジャンプができない」という点。近年のFPSでは当たり前の縦の機動を封じる代わりに、本作は高速な移動力とレーダーによる情報収集を軸とした、平面的な立ち回りをベースにします。障害物を飛び越えるのではなく、いかに有利な射線と死角を確保するか。そのシンプルかつ戦略的な駆け引きは、古き良きFPSの魂を感じさせるものです。

また、近接武器として「包丁」を振るえる点も面白い要素です。低難易度では敵を一撃で屠るほどの威力を持っており、慣れてくれば包丁一本で戦場を無双する快感を味わうこともできます。プレイヤーの熟練度に応じて異なる選択肢を選ぶことができるため、見た目の奇抜さに隠れた確かな「ゲームとしての面白さ」がそこにありました。この予測不能な体験をぜひ味わってみたい方は、Steamのストアページを覗いてみてはいかがでしょうか。

独特な個性を光らせながらFPSとしてちゃんとした手ごたえのある一作『ギャルトムラ』でした。

📊 [モブの体感パラメーター]

独自性(カオス度): ★★★★★
テンション: ★★★★★
爽快感: ★★★★☆
3D酔い度: ★★☆☆☆(平面移動がメインのため症状は少なめ)
一言: 制約が生み出す新しい駆け引きと、プレイヤーを包み込む圧倒的な熱量。

Guns and Nuns: Storming Hell|重力を手放した、純度100%の狂気

最後にご紹介するのは、これまでの二作品とはまた一線を画す、徹底的なスコアアタックを追求した作品『Guns and Nuns: Storming Hell』です。この記事に唯一の海外制作者さんの作品でもあります。

本作をSNSで最初に見かけたきっかけは、「シスター姿の主人公が双銃を手に悪魔たちをなぎ倒す」というコンセプト。特に、敵を倒した際に見せる彼女の狂気的な笑みが、一部のインディーゲーマーたちの間で熱烈な支持を受けていたのが印象的でした。アニメ『Hellsing』を彷彿とさせるようなキャラクター性は、多くの人々の好みに突き刺さったのではないでしょうか。

驚くべきは、このゲームには世界観の説明やストーリーが一切ないという点です。体験版では、ただ与えられたステージで好みの武器を手に取り、迫りくる悪魔を駆逐する。純粋なアクションのみがそこに提示されています。わかっているのは、主人公の名前がアンジェリカ・アマデウスであり、彼女が「レクイエム」と呼ばれる黄金の双銃を愛用していることだけ。見事にシンプルで、潔い構成です。

実際プレイしてみて最も驚かされたのは、ステージにおける「重力システム」でした。空中に足場が浮かぶ仮想空間のような場所が舞台ですが、もし足場から踏み外して虚無へと落ちてしまっても、ゲームオーバーにはなりません。代わりに重力が反転し、今度は足場の「裏側」に逆さまに立って戦い続けることになるのです。「悪魔を殲滅するのに落下死など不要だ」と言わんばかりの仕様。中盤にもなれば、どこが地でどこが天かもわからぬ混沌の中で、ただひたすら悪魔に銃口を向けるだけのエクストリームな状況が展開されます。

この迷いのないゲーム性とスコアアタックシステムは非常に相性が良く、その中毒性は凄まじいものです。ちなみに私の初プレイ時のグローバルランキングは11,242位。私が必死に叩き出した20万点というスコアに対し、トップランカーたちは1,000万点という天文学的な数字を叩き出していました。こんなの勝てるわけないじゃないでしょう。

アクションの自由度においては、今回の三作品の中でも圧倒的です。唯一の難点(あくまでも私個人問題ですが)を挙げるとすれば、激しすぎる動きゆえに「酔い」が避けられないこと。一度のプレイに対し10分の休憩が必要なほどでしたが、それと引き換えにしても惜しくないほどの魅力が詰まっていました。本作の「狂気」に触れてみたい方は、ぜひSteamでその熱量を確かめてみてください。

まさにシンプル・イズ・ベストを体現しているような一作『Guns and Nuns: Storming Hell』でした。

📊 [モブの体感パラメーター]

スコアタ熱中度: ★★★★★
スピード感: ★★★★★
狂気度: ★★★★★
3D酔い度: ★★★★★(※プレイ後の長めの休憩を強く推奨します)
一言: 重力をも超越する、シンプル・イズ・ベストのハイスピード・アクション。

結びに:3D酔いの果てに見えた、インディーゲームの「執念」

今回のSteam Next Festを通じて出会った三つのFPSは、どれも「撃つ」という共通の行為の中に全く異なる魂が宿っていました。あるものは滅びゆく世界の虚無感を、あるものは制約の中での全肯定を、そしてあるものは重力さえ超越した純粋な破壊の快感を。

同じ「ブーマーシューター」というトレンドの枠組みの中にありながら、これほどまでに異なる解釈と表現が存在する。それこそがインディーゲームの魅力であり、私たちがこうしたイベントを追い続ける理由でもあります。SNSの短い動画で流れてきた断片的な情報は、実際にコントローラーを握り、自分の指先でその「手触り」を確かめた瞬間に、製作者の執念とも呼べる「こだわり」へと姿を変えました。

正直なところ、今回の記事ほど自分の身体的な限界を試したことはありません。アクションの密度が高まるほど画面は激しく揺れるので、私の三半規管は悲鳴を上げるばかりでした。しかし、ちゃんと楽しい経験をさせていただくことができたので、個人的には大満足できたけれども。

私たちはどうしても、効率や分かりやすさを求めてしまいがちです。しかし、今回紹介したゲームたちが教えてくれたのは、時には「不自由」を愛し、時には「狂気」に身を任せ、そして「小さな命」に心を寄せるという、理屈を超えた面白さでした。私の指先と平衡感覚に刻まれたこの刺激を糧に、また明日から私自身のゲーム開発——そしてネゴラブチームでの活動——に戻りたいと思います。

皆さんも(ぜひ酔い止めを片手にして)自分だけの「刺さる一作」を探してみてはいかがでしょうか。それでは、また次回のレポートでお会いしましょう。